柔軟な菜食主義者・フレキシタリアンとは
私のバックヤード・ガーデン。5月はレタス、早生タマネギ、ソラマメ、グリーンピースの収穫です。
フレキシタリアン(Flexitarian)は、もともとはセミ・ベジタリアンとかパーシャル(部分的)ベジタリアンと言われていました。普段は野菜中心の食事をしていますが、気が向けば週に1~2回は肉や魚をメニュに加える気軽なライフスタイルです。いかにも環境に優しい、都会的で、美容と健康にぴったりとあう現代的な生きかたですね。
本来のベジタリアン=「肉食の否定」
つい先日の2011年5月6日に、元ビートルズのポール・マッカートニーが3度目の結婚(婚約発表)というニュースが日本の新聞にも載りました。ポールの亡くなった最初の奥さんであるリンダ・マッカートニーと一緒に、ポールがベジタリアンになったときのエピソードを思い出しました。ある時、自分の牧場でかわいい子羊とたっぷりと遊んでから別荘に戻ると、なんと料理人が子羊料理(!)を用意していたのです。その日から夫婦でベジタリアンになったと、リンダさんは自著『地球と私のベジタリアン料理』(文化出版局1991)で述べています。ベジタリアンは個人の好みで穀類や野菜、果物を食べる人と思われていますが、リンダさんのエピソードで分かるとおり、根本は肉食の否定です。その理由は宗教や哲学的、倫理的なこともあるでしょうし、美容や健康、エコライフの実践でもあるでしょう。
糖尿病食も一人ひとりにあわせることが大切!
前回の記事で、世界の糖尿病治療をリードするアメリカ糖尿病協会(ADA)は、1日に摂取する炭水化物のエネルギー比も摂取量も決めていないことを書きましたが、これはone-size-fit-all(1サイズで万人に合う)正しい食事法なんて在存しないからです。糖尿病になっても一人ひとりのライフスタイルに食事を合わせるべきなのです。もちろん、ヘルシー体重を目標にすることは言うまでもありませんが。
当然ながら、栄養不足のないように周到に計画されたベジタリアン食も糖尿病者にはいい選択だという立場です。野菜中心の食事は心臓や脳などの循環器病にとてもよく、医学的には証明されていませんが肉食の高タンパク質が糖尿病の宿命とも言える腎臓に負荷をかけると心配する糖尿病患者も少なくはありません。
ベジタリアンになるのはライフスタイルの変更ですから、年月をかけて心と体のバランスを取りながら一歩ずつ進めていくものです。とてもここでは紹介できませんので、関心のある人はこのフレキシタリアンに少し近付いてみたらいかがでしょうか。なに、肉を減らせばいいのです。
ガイドも実践! フレキシタリアン食の魅力
実は私は20年以上も前からフレキシタリアンなのです。肉は週1回、魚は2回と決めて、あとは自家菜園の山盛りの野菜と穀類、豆類、果物を中心にした、質素と言うか豪華と言うか、野趣に富んだ食事です。白状しますと、これは糖尿病のために始めたのではなく、フランスのガン学者が勧めた「ガン予防食」だったのです。おかげでソレとも無縁ですが。2型糖尿病の進行に応じて、かつては食後高血糖を抑えるために炭水化物を制限したり、グリセミック指数の低い食材に徹したこともありますが、現在は食事をすれば血糖が上がるのは当然だと割り切って、マルチショットのインスリンで対処しています。狙ってはいませんが、結果としてのA1Cは優等生です。
食事の炭水化物には注意していますが、2型なのでカーブカウンティングも食品交換表も使わずに、気取って言えばexperience-based estimation(経験に基づく概算)、つまりヤマカンで十分にクリアできます。
■関連記事
炭水化物は食事療法の敵? 味方?