ワキガとは

わきの下の汗が細菌で分解され、臭いが生じ、周りの人に不快感を与える病気のこと。医学的には「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ばれます。

ワキガの原因

腋臭

周りの人を不快にさせないか心配なワキガ。自分では気づきにくい症状でもあります

汗の分泌腺は、エクリン腺とアポクリン腺の2種類に分けられます。エクリン腺は全身に分布していて、特別な臭いは発生しません。体温調整のための分泌腺です。

このエクリン腺と異なり、二次性徴に伴って思春期以降に発達するのがアポクリン腺です。こちらは特有の臭いを発生するようになります。アポクリン腺はフェロモンとしての機能を持つと考えられています。アポクリン腺が特有の臭いを持つ体質は遺伝的なもので、優性遺伝といわれています。この遺伝体質がワキガの原因とされています。

ワキガの症状

特有の臭いを文字で表現するのは難しいのですが、玉ねぎの臭いなどに似ていると言われます。汗の量が多い多汗症を合併すると、下着に汗のシミが目立つようになります。閉鎖された環境、例えばエレベータの中で一緒になると、他人に不快感を与えてしまうこともあります。仕事や学校などで、毎日長い時間を一緒に過ごす他人が、不快感を訴える場合、ワキガを治療する必要が生じます。

東洋人の場合はワキガの人は少数派のため、集団の中で疎外されることもあり、病気として認識され健康保険の治療も認められています。しかし白人の場合はワキガ体質の人が多数を占めるため、治療をする必要もありません。

ワキガの診断

本人は自分の臭いを自覚することは少ないので、他人が客観的に臭いを評価する必要があります。臭い以外であることの補助診断法として、耳垢(みみあか)が湿っていることが挙げられます。これは耳の中のアポクリン腺からの分泌が原因と言われています。思春期以前から診断が可能な項目ですが、これはあくまでもワキガの補助診断。家族歴、親、兄弟にワキガの人がいれば、優性遺伝のためワキガの可能性は高くなります。

注意しなければならないのは、ワキガではないのに自分のわきの下から臭いがすると思いこむ人が多いことです。この場合、誤解をとくのが非常に難しくなります。

ワキガ治療法……自己対応できるもの

■腋毛の処理
毛を取り除くことにより、汗や細菌、臭いの原因物質の皮膚への付着を押さえることができます。剃毛処理だけでなくレーザー脱毛を行うことで、長い時間腋毛を減少させることが可能です。

■制汗剤
市販の制汗剤の多くは、汗の分泌を押さえ、殺菌作用により臭いの原因を作る細菌を減少させます。上手に使用するとかなり効果があります。

ワキガ治療法……注射・手術など病院での治療

■A型ボツリヌス毒素の注射
A型ボツリヌス毒素をわきの下の皮膚に注射することで、汗の分泌をほぼ完全に抑えます。効果の持続期間は数ヵ月で、たびたび病院での治療が必要となる点がわずらわしいですが、副作用はほとんど認められません。ただしボツリヌス毒素はワキガが適応疾患として認められていませんので、健康保険の適応がなく治療費は全額自己負担となります。

ワキガの治療法―手術治療

■脂肪吸引
わきの下を約1cmほど切開し、脂肪吸引をわきの下の組織に行い、アポクリン腺を除去する治療です。長所は傷跡が目立たないこと、入院が必要なく、安静もほとんど必要ないので仕事や学校に影響がないこと。短所は健康保険の適応がないこと、本来脂肪組織を除去する装置であるため、アポクリン腺を確実に除去できないこと。つまり効果が不十分で、臭いを完全におさえることは不可能という点です。

■超音波吸引
超音波で組織を破壊する装置を使用し、アポクリン腺を除去する治療法。脂肪吸引に比べてアポクリン腺を除する能力が高い装置で、臭いを減らす効果が期待できます。長所は脂肪吸引より効果がある点。短所は、保険の適応がないこと、機器が高額なため治療費用が高いこと、治療施設も限られることです。

■剪除法(せんじょほう)(鋏で切り取り、除去するという意味)
術前

縦の線 約4cmの切開から周辺の皮膚を大きく手術を行います

わきの下を4cmほど切開し、広範囲に皮膚を反転させ、直接毛根を目で確認しながらアポクリン腺を切除する方法。長所は健康保険の適応があること、臭いを抑える効果が確実であること。短所は長い傷跡が残ること、安静が必要で病院によっては入院が必要であること。手術後に腕を動かしたり、仕事、家事を続けると、薄くした皮膚の血行が阻害され、広範囲な皮膚壊死が起きる可能性があることです。私の勤務先の病院では1週間程度の入院で治療を行い、合併症の発生を抑えています。患者さんの負担が増しますが、合併所を押さえるためには必要であると考えています。治療費用は保険を使用して20万円ほどで、高額医療の対象となります。

術後

術後は傷跡が残りますが あまり目立つ部位ではありません

実際の手術前後の画像を掲載します。右上にあるのが、手術範囲を描いたもの。楕円形で、かなり広範囲。切開は約4cmほどの縦の線となります。

そして、右画像が手術後6ヶ月の状態。傷跡はやや目立つものの、わきはあまり露出する場所ではないので。ワキガで大きな悩みを抱えている方には適した治療法です。

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