皮膚・爪・髪の病気/ワキガ・多汗症

多汗症の症状・治療

多汗症は自律神経の失調により必要以上に汗が出てしまう病気。掌など局所的に症状が出るタイプの多汗症もあります。自分でできる対策法を始め、薬や手術など、病院で受けられる治療法について解説します。

井上 義治

執筆者:井上 義治

形成外科医 / 皮膚・爪・髪の病気ガイド

多汗症とは

多汗症

必要以上にたくさんの汗が出てしまう多汗症。自律神経の失調が原因と考えられています

多汗症(たかんしょう)とは、体温調節に必要な量以上に、汗の量が多くなってしまう状態のこと。

緊張や不安感で汗が増える状態とは異なり、自律神経の失調により発生する病気と考えられています。単に汗の量が多いだけでは多汗症と考えませんが、日常生活に支障をきたす場合には病気と判断します。

多汗症の分類

多汗症は、全身性多汗症と局所性多汗症の2つに分けられます。

■全身性多汗症
全身の汗の量が増加します。

■局所性多汗症
全身ではなく、身体の一部のみで汗の量が増加します。手、足、わきの下、頭部などの頻度が高いです。

部位別以外の分類法としては、以下のものがあります。

■続発性多汗症
多汗症以外の疾患(甲状腺機能亢進症、先端肥大症、褐色細胞腫、パーキンソン病、脳梗塞、末梢神経障害、耳下腺切除後など)が原因となって発生する多汗症です。

■原発性多汗症
原因不明の多汗症のこと。原発性多汗症に関しては常染色体優性遺伝の可能性が高いとされています。

部位による分類

局所性多汗症は、部位により病名がつけられているものもあります。
  • 手掌多汗症……掌から多く発汗する多汗症
  • 足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)……足の裏から多く発汗する多汗症
  • 腋窩多汗症……わきの下にから多く発汗する多汗症
  • 頭部多汗症……頭から多く発汗する多汗症
  • 顔面多汗症……顔面から汗が多く発汗する多汗症

多汗症の治療法

現在、原因不明の「原発性局所性多汗症」に対しては日本皮膚科学科の治療ガイドラインが作成されています。

その中で推奨されている治療法として、以下のものがあります。
  • 塩化アルミニウム液の外用……腋窩、手、足に有効 
  • イオントフォレーシス(電流を患部に流す装置)……手、足に有効
  • A型ボツリヌス毒素の注射……手、足に有効
  • 交感神経遮断術……手に有効
それぞれの治療法の特徴について、解説します。

■塩化アルミニウム液の外用
塩化アルミニウム液という薬は、汗の量を減らす作用があり副作用も少ないので、最初の治療薬としてよく使用されます。ただし製薬会社の製剤がないため院内製剤として処方されています。

■イオントフォレーシス
特殊な装置で患部に微弱な電流を流すと、発汗が抑えられることが知られています。健康保険の適応もあり、安価なので、病院にこの装置があれば、治療を行ってみる価値のある治療法です。

■A型ボツリヌス毒素の注射
ボツリヌス毒素は発汗をほぼ抑える作用があり、効果も数ヶ月持続します。副作用もほとんど認められません。手、足など限局した部位では有効です。ただし、今のところ多汗症に対するボツリヌス毒素は健康保険の適応疾患として認められてはいないため、治療費用は全額自己負担となります。それほど高価ではありませんが、一生の間、注射のために病院を受診する必要があります。

■交感神経遮断術
入院、全身麻酔の上で内視鏡を使用して、交感神経を永久に遮断する方法です。手に対して有効。効果は確実ですが、遮断した部位のまわりの発汗が増加する副作用がありますので、副作用について納得した上で、治療に慣れた病院で手術を受けることをお勧めします。健康保険の適応があります。入院期間1週間、治療費用30万円程度(高額医療の対象となります)。

■その他:剪除法
術後

剪除法を行って術後6ヶ月の状態 傷は残りますが目立つ部位ではありません

皮膚科ガイドライン以外の治療法として、「剪除法(せんじょほう)」という治療法もあります。鋏で切り取り、除去する、という意味です。腋窩多汗症に対して有効。

この手術は本来腋臭症(ワキガ)の治療で健康保険の適応となる手術ですが、臭いのある多汗症の患者さんには適応があると考えられます。わきの下を4cmほど切開し、皮膚を反転させて、直接毛根を確認しながら、組織を切除します。汗の量は半分以下に抑えられます。傷跡が残りますが、服をつけていれば目立たない場所ですので、多汗症の症状が強い方にはすすめられます。健康保険の適応があります。入院期間1週間治療費用20万円程度(高額医療の対象となります)。
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