ハイブリッドらしさは控えめ
カイエンSは、400psを発生する4.8LのV8だが、カイエンSハイブリッドは、333psの3.0LのV6を搭載する。ただし、47psのモーターによるアシストにより、システム合計で380psに到達。アクセルを大きく踏み込めば20psの差はそこそこあるが、カイエンSハイブリッドの燃費やEVモードやアイドリングストップなどの恩恵に加え、ハイブリッドである「社会性」を考えると個人的にはカイエンSハイブリッドをチョイスすべきだろうなと感じる
ガソリン仕様と比べても外観上の差はほとんどない。ハイブリッドのロゴがフロントフェンダー近くで輝くくらいで、リヤまわりにもハイブリッドの文字はない。グリル内の塗装が違うなど、マニアしか分からないような差はあるが、カイエンSとの違いはほとんどない。差を付けたい人は、ボディサイドに張ることのできるデカールをチョイスするしかない。
内装では、メーター内にハイブリッドシステムの様子が分かる図が表示され、コンソールに用意されるEVモード、スポーツモードボタン以外はほとんど変わらない。いまやハイブリッドであることを声高に主張する必要はない時代とはいえ、ガソリンをがぶ飲みしがちなSUVでもハイブリッドであることは免罪符になるのは間違いない。ポルシェといえどもCO2排出量の削減は、欧州を中心とした罰金制度があってもなくても急務なわけで、カイエンにもハイブリッドが用意されるのは自然の流れだ。
居住性、積載性ともにファミリーに最適
インパネの景色もガソリン仕様とほとんど同じだ。ハイブリッドのシステム図が、メーター内にある液晶画面の表示されたり、EVモードやスポーツモードボタンが用意される程度。コンフォート、ノーマル、スポーツのダンパー設定も装備される
ハイブリッドでも実用性は損なわれていない。大人4人でのロングドライブが可能なキャビンと、ゴルフやスキーエクスプレスとしての実力は十分に備えている。ニッケル水素バッテリーがラゲッジフロア下に鎮座するが、荷室容量は十分だ。リヤシートの重い背もたれを操作すれば、より広大なスペースを確保できる。カイエンは4WDだから日本で走る分にはシーンを問わず、機動力に不足は感じないだろう。
注目の燃費は新欧州走行サイクルで、100kmあたり8.2L。リッター当たりに換算すると、12.1km/Lとなる。今回の試乗は140kmと距離が短く、街中と高速道路半々くらいの走行で、8.9km/Lだった。実燃費と考えるとこのクラスでは上々だろう。
悩ましいのは、1035万円のカイエンSと1092万円のカイエンSハイブリッドのチョイス。この価格帯を買える人なら約60万円の価格差もそこまで気にならないはず。ガソリン不足や低燃費への要望を痛感している人が多いはずで、迷ったら後者をオススメしたい。