スプーン授乳とコップ授乳が見直される本当の意味

育児は飼育とは違います。松田道雄さんの著書『定本 育児の百科』(岩波書店)に、こんな言葉があります。「飼育と育児の違いは? 飼育は太らせることが目的であり、育児は愛することが目的である。」
 

哺乳びん

哺乳瓶で授乳するときも、母乳のときのようなスキンシップが必要

災害時の授乳方法としてスプーン授乳とコップ授乳が見直されつつありますが、もう一度哺乳瓶での授乳について考えるきっかけにもなりました。

赤ちゃんが哺乳瓶でミルクを飲む姿は、かわいらしくて微笑ましいですね。でも、何かが足りないと思いませんか?
 

哺乳びん列

家畜の飼育のような哺乳瓶授乳(かつての新生児室のイメージを再現)

では、こちらの写真はどうでしょう? かつて、多くの産科病院の新生児室で見られた風景をフィギュアを使って再現しました。

粉ミルクと哺乳瓶の発明は、この100年の人口の急激な増加の要因のひとつと考えられています。つまりは、さまざまな資源の需要増加の要因です。

赤ちゃんでなくても、もし、自分が嚥下障害のある病気や寝たきりになった時に、スプーンで食事を介助してもらうのと、家畜のように時間毎に哺乳びんやチューブで栄養されたりするのとでは、どちらが望みでしょうか。そう考えると、スプーン授乳とコップ授乳の意義がさらに実感できるでしょう。「私たちは飼育ではなく、育児をしているんだ」ということを、頭の片隅に置いておいていただけたらと思います。


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