災害時など、哺乳瓶が使えない場合の授乳法を知っておこう
災害時こそ母乳育児を続けることが重要ですが、さまざまな状況で、人工栄養に頼らざるを得ない場合もあります。それまで人工栄養だった方も、災害時には、哺乳瓶や乳首の消毒が問題になります。そんなときのために、スプーンやコップを使った授乳の方法を覚えておきましょう。
スプーン授乳とコップ授乳は哺乳瓶が普及する前は当たり前だった授乳方法。そのメリットや具体的な方法について解説します。
災害時のスプーン授乳、コップ授乳のメリット
ユニセフやWHO他による「災害時における乳幼児の栄養の手引き(※PDFが開きます)」や、母乳育児団体連絡協議会の「災害時の乳幼児栄養に関する指針(※PDFが開きます)」では、「災害時の状況では、哺乳びんや人工乳首は、洗浄が困難で細菌汚染の危険性が高いので使用を避け、コップ授乳を積極的に勧める」としています。
お母さんがストレス・栄養不足などで一時的に母乳分泌が減少しても、ミルクをコップ授乳で与えることで、赤ちゃんが人工乳首に慣れるがことなく、母乳分泌が回復した際に、母乳育児に戻りやすいという利点があります。また、お母さんの乳首以外には吸い付かない赤ちゃんも、スプーンやコップによる授乳なら可能です。
乳幼児は一番の災害弱者(災害時要援護者)です。警戒情報を理解したり、自分の状況を言葉で伝えることができません。災害時には、母親自身や育児経験者、専門スタッフが、赤ちゃんの重要なサインを見逃さないようしっかり観察しなくてはなりません。哺乳瓶による授乳は、便利ですが、赤ちゃんの観察がおろそかになる傾向があります。
赤ちゃんの飲み方の特徴
首がすわるまでの赤ちゃんは、ミルクを飲みながら首を後ろに反らすことができないのが特徴です(子どもや大人は、コップや缶ジュースを飲む場合に、中身が減るにつれて首を後ろに反らすはずです)。
赤ちゃんは身体の軸と頭の角度を変えずに飲みます。コース料理のスープをスプーンで食べる時のようなイメージです。
>> 次のページでスプーン授乳とコップ授乳の具体的な方法を解説します。