日本で住まいを建てた英国男子。家庭を大切に、日常を丁寧に過ごして、愛情深く住まいを育んでいます。特別な収納ではないけれど、適材適所のアプローチから生まれた、気持ちのいい隠す収納スタイルです。

ガーデン好きの屋外収納

ガーデン用屋外収納

テラスにある屋外収納には、脚立、バーベキュー、クリスマス飾りなど

収納にとって適所といえる条件は、使う場所の近くであること。しまうことではなく使うことが前提だからです。ごく当り前なことなのですが、住宅を計画しているときには意外と忘れていたりします。

屋外の収納も考え方は同じです。庭いじりが好き、庭で過ごす時間を愉しみたい。それなのに、あとから物置を庭に据えたために、庭の景観を壊してしまったという残念な話を耳にします。ガーデンライフを大切にする英国男子にとって、それは絶対に避けたいこと。ところが日本の住まいでは、宅地が狭くて居間に面して庭があるため、どこにどんな収納をつくるかが問題です。

そこでまずは、テラスを居間の延長スペースとして、気持ちのいい空間に仕上げることを優先。居間からの視線と、テラスでの目線から死角になる位置を、収納庫にします。そして目立たないようにさり気なく、部屋に通じる扉のように見せかけて、建物に溶け込ませています。

湿気を寄せつけないリネン庫

リネン庫収納

左がリネン庫、洗面所のタオル収納と使い分けている

廊下に面した収納を開けると、そこにはバスタオルやシーツなどのリネン類がきちんとたたんで収納されていました。そして棚の上部には、なぜかコンピューターのモデムがセットしてあります。

英国ではボイラー室にリネン庫を設ける家もあるそうで、それをヒントにして、熱を発するモデムを置いて、リネン類がパリッと乾く仕組みにしたというわけです。また、廊下にあることによって、同じフロアにある寝室とゲストルーム用に、シーツやタオルの交換がしやすくなっています。

日本の住まいでリネン庫というと、洗面所の一角にあってタオルをはじめ肌着などをしまえる収納というのが一般的です。ところが、シーツや枕カバーなど寝具用布類の収納となると、何処にしまったらいいのかがきちんと定まっていません。押入れやクローゼト、整理ダンスのなかで、他のモノと一緒にしまっているのが現状です。布団や毛布の収納と合わせて、寝具関係の収納がどこにどの程度の分量を必要とするのか、しっかり計画しておきたいところです。

家事行為を収めるランドリールーム

洗濯室収納

仮干し用はベランダ金物で代用。センスがいい

洗濯して、干して、アイロン掛けして、たたむまでの行程をひと部屋に収めようとすると、3畳ほどの広さが必要になります。でも、その広さがあるなら納戸にしたいというのが、日本人の考えかもしれません。ところが、屋外に干す習慣が一般的ではない英国では、洗濯専用の部屋を優先的に考えているようです。

ルーム内の設えとしては、収納つきのカウンターがあると、たたんだりシミ抜きをする作業台になります。壁面には仮干しのできるフックがあって、下洗いのできる流しがあるのが理想的。さらに、スタンド式のアイロン台が置けて裁縫道具が揃っていれば、繕いものまでできます。

お日様にあてて洗濯物を乾かす習慣のある日本では、庭やバルコニーといった日当たりがよく眺めのいい場所に物干し竿があります。ということは、洗濯場から物干し場への動線が、居間や寝室を通り抜けることにもなりがち。それに伴って、干し終った洗濯物をどこでたたむのか。さらに、花粉や梅雨の時期には、室内干しの場所をどうするか。住まいへの夢を膨らませる一方で、こうした家事動線とその行為をおろそかにすることはできません。

間取りを考えるときには、片づけやすい収納場所を、必ずどこかに落とし込むことが必要です。日頃から日常の生活を観察して、その様子を思い描きながら、その一方で夢を描く。英国男子はそれをしなやかに両立させて、今も住まいを育み続けています。
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