細かく分けることで感覚が生かされる
幸男という名前とともに、そうした価値観が送りこまれたとすれば、それが枝野氏の活動の原動力になり、生き方を作っているようにみえます。法曹、音楽、政治といった違う世界で同時に生きながら、政治家として取り組んだテーマも、薬害エイズから金融問題まで多岐にわたっています。中でもご本人を表舞台で光らせたのは何といっても「事業仕分け」でしょうが、これは官庁内部で慣習的に決められていた予算配分をほぐして分け直すことですから、まさに幸の字の「ほぐす」「分ける」の意味そのままです。
それは外交感覚にもあらわれています。ただの親米とか、親中といった政治家も多い中、枝野氏の発想は常にさまざまな国とパイプをもち、多くのカードをもちながら、あらゆる選択肢を考える、というものです。
そして福島原発事故の後は、まさに予想外の難題に取り組み、かみくだいた説明を毎日続け、「寝る暇があるのか」と心配されてもいますが、名前からすれば、小刻みに仮眠をとっているのかもしれません。ただ農産物、海産物の風評被害については、ご本人が方針転換を表明しているように、今後は細かく分けた地域ごとの検査によって安全な商品を識別できるようにすることこそ、まさに枝野氏が本領を発揮する場といえそうです。