名前に隠された感覚・価値観を探る
漢字は、絵や記号、あるいはその組み合わせから変化したものです。その漢字を使って名前がつけられる時、つける人の無意識の感覚、価値観が同時に送りこまれます。ですから人の名前というのは、つけた人の感覚や価値観を探る手がかりでもあるのです。では枝野幸男現官房長官の場合はどうでしょうか?
「幸」の漢字が持つ意味は「ほぐす」「分ける」「くり返す」
「幸」の甲骨文字
漢字は古くは絵や記号、またその組み合わせで作られたものです。「幸」の字の最古の形は図の左側のような絵ですが、じつはこの絵が何を描いたのかはわかっていません。ただ、右側のようなモノを細かくほぐすための道具、あるいはものを分けることをあらわす記号である、と考えることもできます。「幸」の字は「ほぐす」「分ける」「くり返す」という意味をあらわし、「ほぐす」の意味から「楽になる」「しあわせ」という意味が出たものと思われます。
そして「幸」の字から、「報(同じことを返す)」、「執(作業する)」、「澤(沢の旧字=たくさんに分かれた水たまり)」、「驛(駅の旧字=馬の荷をほどく場所)」、「譯(訳の旧字=かみくだいて言う)」、「釋(釈の旧字=ときほぐす)」、「擇(択の旧字=分けられた中から選ぶ)」などの字が作られています。
漢字そのものより、伝わる感覚が重要
「幸」の字が名前に良いか悪いかいう分類はできませんが、この字を名前に入れる時は気をつけるべきことはあります。それは「幸せになってほしい」というまじない的な発想で入れますと、結果が裏目に出やすいのです。つまり字の意味と本人の生き方が逆になってしまうこともあるのです。
ただし枝野幸男氏の場合はあてはまりません。枝野氏の幸男という名前は、憲政の神と言われた尾崎行雄にちなんで同じユキオという名前をつけられたといわれます。尾崎行雄は、数々の予想外の事態に直面しながら、追放や迫害に屈せずに政党政治、護憲政治の理念を貫いた人です。そして漢字のほうは「分ける」という意味の幸の字が使われています。ここから推察しますと、名前をつけた人の感覚の中には、「人は多くのこと、初めてのことにも挑戦しなければならない」という価値観があったのではないか、と思えるのです。
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