ほとんどの人が悩まされることの多い虫歯も、意外と知らないことばかり。今回はちょっと変わった視点から虫歯の知識を紹介します。

歯石の下は虫歯はできにくい!?

スケーラー

歯石の表面は細菌だらけ。取り除く必要はあります。

イメージ的には歯石は悪者。何となく歯石があると虫歯になるような感じがしませんか? でも実は歯石の下に虫歯ができることはまれ。歯石は虫歯の原因の歯垢が、唾液によって固まってできたりすることがあるからです。

虫歯の原因の歯垢はまずエナメル質に付着しますが、唾液中のカルシウムイオンなどが歯垢を石灰化して固めてしまうことがあります。これが歯ぐきの上にできる歯石。完全に石灰化すると虫歯菌は活動できません。このため歯石が付着している直下のエナメル質は、酸により溶かされた穴になりにくいのです。

すると歯石は取らなくても良い?と思ってしまいそうですが、違います。問題になるのは歯石の内部ではなく表面。歯石の表面は細菌の活動が活発なのです。歯石の表面はツルツルした歯の表面に比べてかなり凸凹で、この凸凹に歯垢が次から次へと集まります。そのため歯石の表面が歯ぐきに触れるようになると、今度は炎症を起こし歯周病になってしまうのです。

外側に穴がない!? 不思議な虫歯

虫歯と言えば入り口の小さな穴があって、内部が広がっているのが定番ですが、実は穴がなくても内部が虫歯になるケースも少なくないことをご存知ですか?

この不思議な虫歯は、まずエナメル質が溶かされて、内部の象牙質に虫歯が入り込む順番は一緒。でも虫歯が内部の象牙質に侵入したのにも関わらず、唾液が外側のエナメル質を修復(再石灰化)してしまうのです。

すると歯の表面は穴なく、まるで虫歯が歯の中に閉じ込められたようになり、内部に進行します。でも穴の入り口は見た目が分からないほど完全に修復されることはまれで、よく見るとチョークのような白いぼそぼそした状態だったりします。

この不思議な歯と歯の間に出来た虫歯などでときどき見かけます。穴がなくても内部の虫歯が変色していることが多いので、検診でもすぐに見つかるのでご安心を。

虫歯と歯石の不思議な関係

普段口の中はほぼ中性~弱アルカリ状態だと言われています。食事をするたびプラーク中の虫歯菌が酸を出し、歯を溶かします。ちなみに歯が酸で溶け出すのは、成人の永久歯でpH5.5付近。

歯に優しい食品の中には、食べても歯の表面がpH5.7以下に下がらない食品もあります。レモンなどの酸性食品を頻繁に摂り過ぎると酸蝕症と言って、歯の表面が溶けだしてしまうこともあります。

一方歯石が作られやすい環境はアルカリ性。アルカリ性では歯が溶けないため、虫歯にならなくなります。その代わりに歯石ができやすくなるのです。

人の持つ優れた防御機能でも、現代人の生活環境では、虫歯や歯周病を防ぐことができません。毎日の手入れを行ないながら、定期的検診などを上手に利用するのが、歯を長持ちさせる秘訣です。


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