産院の携帯番号がわかっていると安心
できるだけの準備をしたら、あとは自信をもつこと
停電中に出産施設と連絡がとれる手段も確認しておきましょう。停電が実施された場合には、固定電話が通じないことが予想されます。大川医師のところでは、待合室に、産院につながる携帯電話の番号が張り出されました。「お産が近い妊婦さんが来たら診察室でも必ず伝えるようにしています。でも、必要な人全員にこちらから教えるのは無理なので、まだ知らない人は積極的に聞いて欲しい」と大川医師は言います。
帰省・疎開もひとつの手段
計画停電の地域は、被災された地域とはくらべものにならないものの、ガソリン、物資、電力の不足、そして断水、さらには放射能の不安もあって疲労されている方も多いと思います。西日本に実家のある妊婦さん、お母さんは、帰省されるのもひとつの手段です。医学的事実はともかく妊婦さんは心理的にリラックスできる環境が一番です。仕事などで東日本に残らなければならない家族と別れるのはつらいことでしょうが、心は今まで以上に強くつながっていると思います。
お産を守ろう
今回の震災ではたくさんの人が家族の絆や新しく産まれてくる命を守ることの大切さを深く認識しました。今お産をされる方は、きっといつも以上に熱い愛に包まれて出産されることと思いますから、もう少し、がんばりましょう。被災地の妊婦さんは、遙かに必死になってがんばっているのですから。
そして、いつもと同じようにはいかないことがいろいろと起きていますが、自信を失わないでください。出産には、自信がとても大切です。ほとんどのお産は、妊婦さんと赤ちゃんの身体から湧き上がる力で立派に産み遂げることができます。本当は、その自信の方が電気より大切なのです。
ただ現代では、電気を使った医療があればこそ助かる命があります。その命が、地域全体の節電で大切に守られるようにしましょう。
地域全体の助け合いに期待
うれしいことに、医師からも停電中の出産を支える体制作りを求める声が出始めています。浅川恭行医師(横浜市・浅川産婦人科)は、今回の震災で停電が起きた時に平素の搬送先である病院も停電であり、通常は最も難しいケースの妊婦さんを搬送する横浜市立大附属市民総合センター総合周産期母子医療センターと連携して乗り切りました。その経験から、浅川医師は提案します。「今後長期的に計画停電が続くなら、診療所や助産院の出産には、中核病院との連携強化や予備電源の貸し出しなどを検討していくべきです」
地域の規模もさまざまな出産施設と妊婦さんが協力し合って、この大規模な電力不足を乗り越えていきたいものです。