この度の東北関東地方沖地震による被害につきまして、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、甚大な被害を受けられたすべての被災者の方々に、心よりお見舞い申し上げます。
この未曾有の大災害による犠牲の大きさに言葉を失ってしまいますが、被災地のみなさまの安全と、被災地の一日も早い復旧復興を心よりお祈り申し上げます。
未だ余震が続いています。関連記事の中で“家具コツ#005 『緊急時にできる家具地震対策法』”をご紹介しています。是非お試しください。
さて、今回の展示会です。
曲線を多用する優雅で洗練されたデンマークの女性家具デザイナー
北欧を旅した時、コペンハーゲンの空港や公共空間でよく見かけた椅子がある。まるで鳥が羽を広げたような優雅で陰影の美しい椅子。この椅子は、デンマークの女性デザイナー:Nanna Ditzel/ナナ・ディッツェル(1923-2005)の名を世界中に広めた「トリニダードチェア」。スリットを空けた木の合板の背と座を軽やかに支えたスチールパイプの脚は、とても印象的だ。
トリニダードチェア
デンマーク家具の父:コーア・クリントと、家具の彫刻家:フィン・ユールに刺激され、やがて独自のデザインを築きあげた。
Nanna Ditzel/ナナ・ディッツェル
女性であり母である彼女のデザイン原点は、いつも暮らしの中にある。
空間を邪魔しないシンプルな美しさ、モダンでありながら柔らかさを感じる姿、木の素材感と鮮やかな色使いが醸し出すやさしさと楽しさは、快適な暮らしを一番に考えた彼女の思いやりがカタチとなっている。
1952年に製作・発表された代表的なイージーチェア(安楽椅子)は、フィン・ユールデザインの影響を受けた作品で、背がすり鉢状のゆったりとしたカーブをつくり、どの方向から体をあずけても優しく支えてくれる。鮮やか色のファブリック(布)と白木のコントラストが、いかにも北欧スタイルであり、女性らしい柔らかく、やさしい椅子である。
この椅子をライセンス生産しているは、以前「サンモトヤマ」と「フィン・ユール展」でご紹介した日本の家具メーカー「キタニ」。北欧デザイナーのモノ作りの姿勢と技術を受け継ぎながら、手作りにこだわった北欧家具を作り続けている。