絶好調
昨年末に選んだ「2010年のベスト5」で『ゲゲゲの女房』『火の魚/その街のこども』『セカンドバージン』とNHK作品が5つの内3つを占め、絶好調です。
この好調の原因はNHKの危機感にあります。そしてNHKドラマが危機感によりよみがえったことは過去にもありました。
見られなければ始まらない
危機感を持った原因は2004年に明らかになった紅白歌合戦の担当プロデューサーによる制作費不正支出事件にあります。それまでも受信料不払いはありましたが、これによりかつてないほど急増しました。
この問題への対策としてNHKは2008~2012年での経営計画で「20~30代をターゲットにした娯楽番組を充実させる」ことを重点項目に盛り込みました。これはNHKの視聴者が上の世代が中心で、若い層が見なくなり、受信料不払いでも「NHKを見ることもあるけど問題が多いので」はまだしも、「NHKは見ない」といわれると対処のしようがないからです。視聴者に受け入れられるものを
これをうけてNHKドラマは変わりました。それまでは「いいものをつくればいいだろう」と自分たち本位でつくっていたようでした、この後は「視聴者にうけいれられるものをつくろう」と歩み寄ったようにみえます。それでも民放ドラマほど視聴率のみをねらっているわけではないところにNHKらしさを残しつつ。最初に成果がみえてきたのは2008年からの経営計画に先行して2007年に放送した『ハゲタカ』から。これまでのNHKの社会派ドラマらしからぬトンガリ方で映画にもなりました。続いて2008年の大河ドラマ『篤姫』は「歴女ブーム」とも相まって若い女性の視聴者を増やします。
新しいNHKドラマの時代
そしてもう一つのNHKドラマの柱である連続テレビ小説、朝ドラも長期低落が続いていましたが、昨年の『ゲゲゲの女房』から反転。さらに大河ドラマも『ハゲタカ』のスタッフによる『龍馬伝』もヒットするなど、新しいNHKドラマの時代となりました。ガイドが記憶するNHKドラマがもっともおもしろかった時期というと1975年から。昭和でいうと五十年代です。この時も原因はNHKの信用低下、それもきっかけはドラマでした。