命名相談と姓名判断は別のもの
命名相談に年配の方が来ることもある
あるデパートでの命名相談ですが、朝一番で来られた年輩の男性が、ご自分の氏名だけ告げてただ座っていました。ちょっとヘンだと感じながら、「名づけではどんなご相談をしたいですか？」とお聞きした所、「え？私の運勢を言ってくれるんじゃないんですか？」と言われたのです。「いや、ここはお子さんの名づけについての相談の場ですが……」と申し上げましたら、「なーんだ、そうなんですか」と言ってお帰りになりました。しかも次に来られた中年の女性も、同じような会話になった後、お帰りになったのです。
普通は命名相談のお客様といえば、圧倒的に若いご夫婦です。「何だか今日はおかしいな」と思って、ふと上を見上げて驚きました。天井から「姓名判断」という看板が下がっていたのです。準備の段階で何かの誤解か手ちがいが起きたのでしょう。あわててデパートの方に「申し訳ありませんが、看板が違っています」と申し上げました。担当の方も急いで脚立を持ってきて看板を替えてくれましたので、その後は無事に命名相談を続けることができました。
このように名づけと占いの混同による手違いはよく起きます。看板は替えられますが、もし大量に印刷して配布する命名相談の案内で、姓名判断という言葉が使われたら取り返しがつかなくなります。
命名相談で占いをしてもらえるという勘違いはよくある
やはり別の命名相談でのことですが、主催者が告知して下さった命名相談の案内では姓名判断という言葉は使われていませんでした。そしてお客様の一人が「字画を合わせて名づけをつけたい」と言われたので、名字と字画の合う名前のリストをお渡ししました。ですからご希望通りに対応したつもりでいたのですが、あとでそのかたから、「こんな対応をするとは思わなかった」と苦情をいただいたのです。これはいくら考えても意味がわかりませんでした。ただもしそのかたが、「この名前ならこんな運勢ですよ」という話をしてくれると思い、楽しみにして家を出てきたのだとすれば、「裏切られた」と感じてしまったということもあり得ます。
名づけにはいろいろな方法がありますし、字画で名づけをしたいと希望されるかたには、専門家はもちろん名字と字画の合う名前のリストをご提供します。字画占いを重視するのは個人の自由ですし、専門家なら難点のない名前を作るのは簡単です。でも名前の専門家は占いそのものはやりません。どこかの流派の占いを使って「運勢はあーですよ、こーですよ」と言ったりはしないのです。
しかしながらそういうことは、命名相談の時に始めからお客様がわかって来て下さい、と言っても無理なのです。お客様にすれば名づけの専門家など見たこともなく、名づけと占いのちがいがよくわからないことも多く、だからこそ迷って相談に来られるわけです。ですから相談を受ける側が説明不足の無いように気をつけ、誤解を生じないよう努力しなければ、思わぬ行き違いがおきてしまうわけです。
