子供の結核
子供の場合、結核菌が体に侵入すると、早い時期に、肺や肺の周りのリンパ節から結核菌が血液やリンパ液に流れてしまい、全身に結核菌がばら撒かれていきます。そのため、頭の方に流れて髄膜炎になったり、脳、肝臓、腎臓、骨、関節などに広がり「粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)」と呼ばれた状態になったり、胸膜に広がり胸膜炎を起こしたります。…髄膜炎の原因・症状・検査
生後1ヶ月の結核の胸部レントゲン写真です。肺の部分は本来黒いですが全体的に白くなっています。
子供の結核の症状
発熱、咳などが見られます。感染から発症が早く、すぐに嘔吐、けいれん、意識障害などの髄膜炎の症状が出てくることがあります。早期発見、早期診断が大切です。そのためには、まず小児の身近に痰や咳で結核菌を出している人がいないかを早急に調べる必要があります。同居家族内で発熱が続いている人、長く続く咳をしている人がいないかどうかを、問診によって徹底して調査することが大切です。結核患児の3/4から、身近に結核菌を出している人が見つかります。その多くは、両親や祖父母など同居している身近な人であること多いです。結核の検査
■ツベルクリン反応結核菌成分の一部を皮内に注射します。主に上腕にします。判定は48時間後に、赤い部分が10mm以上で陽性。さらに、硬結といってしこりになった部分の大きさを測定し、水泡といった水ぶくれ、壊死と言ってめくれた皮膚、二重発赤と言って赤く部分が的のようになった部分があれば、陽性が強いと判断します。ただし、BCGをしていると数年間は陽性になります。
■血液検査
採血を行います。白血球の数、CRPという炎症で上昇する蛋白を測定。さらに、結核菌が、腎臓に侵入すれば老廃物である尿素窒素の上昇、肝臓に侵入すれば肝臓に含まれる酵素GOT、GPTの上昇、骨に侵入すれば、ALPという酵素と血液中のカルシウムが上昇します。
■クオンティフェロン
採血を行います。試験管の中で、血液から分離した白血球に結核菌の一部を入れて、結核菌に反応して出てくる物質(インターフェロンγ)を測定。結核に感染している人や感染したことがある人だけが結核菌の成分に反応してインターフェロンγが上昇し、陽性と診断。
髄膜炎が疑われた場合は、髄液検査を行います。(髄膜炎の原因・症状・検査
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■結核菌そのものを見つける検査
痰、胃液、胸水を採取して、結核菌を染めるZiehl-Neelsen染色をして結核菌を見えるようにしたり、遺伝子を増幅したPCR検査で結核菌の遺伝子が見つけたり、結核菌用の試験管で結核菌を育てたり(培養検査)します。
■画像診断
小学校ぐらいの子供になると、胸部X線で結核による変化を見つけることができます。さらに正確に診断するためには、胸部CT検査が有用です。チェックポイントは、肺の入り口のリンパ節が腫れているかどうか、空洞をある影(丸く白く映っている中で黒く抜けて見える状態)があるかどうか、白くうつる石灰化があるかどうか。
結核については、『咳事典 咳を科学する その咳大丈夫?危険!』でも解説しています。
次のページで結核の治療と予防について説明します。