一発屋のタレントとそうでないタレントの違いは…
一発屋のタレントと、幅を広げて生き残っていくタレントの違いは何だろう、と考えたことはないでしょうか。一発屋のタレントは、一発芸に依存しすぎてしまう。本分以外のところで露出し過ぎて、すぐに飽きられる。ちょっと売れると遊びに溺れ、曲を作ったりライブに立ったりするのをやめる。そんなところでしょうか。そういえば投資の世界でも、有名になると投資をしなくなり、運用技術が陳腐化する、という話を聞いたことがあります。なぜなら、講演や執筆だけで食べていけるようになるので、あえて自分のお金をリスクにさらして投資する必要がないからだそうです。
しかし、長期にわたって輝き続けるタレントは、つねに芸を磨き、新しい芸を仕込み、舞台という現場に立ち続けている、という共通点があります。純粋にその仕事が好きだから、という面が強いと思いますが、やはり「最高の自分を更新し続けたい」、という意欲があるからではないでしょうか。
最初の頃は「お金を稼ぎたい」という動機が多忙なスケジュールをこなす原動力になる場合もありますが、その後に伸び続けるかどうかは、チャレンジし続けられるかどうかだと思います。
私自身、そういう職人めいたところがあり、舞台に立ち続けたいと思っています。そして、どの舞台でも、観客からおもしろかった、と言われるようになりたいと思っています。だから芸を磨く。具体的には、講演をする、本を書く、を続けることです。
会社員でも、同じ仕事をしていると、工夫の余地が小さくなり、マンネリ感に襲われます。でも、これはある意味ぬるま湯かもしれません。仕事はプレッシャーなくこなせる。人間関係も慣れている。変化はないけど心地いい。水が淀むと腐るように、留まろうとすると衰退します。「心地いいな」と感じたら、あえてそこから抜け出す勇気を持つことも大事なのだと思います。
そこで私自身は、つねに新しいビジネスやサービスをリリースする、ということを自分に課しています。
転職は自分をレベルアップするいい機会
会社員ができる方法のひとつは、今いる部署で新しい業務改革提案をしたり、配置転換や異動を希望したり、新しいプロジェクトへの参加や兼務を申し出たりしてみることです。それが無理なら思い切って転職してみる。
「人生がかかっている」と大げさに捉えたり、「収入が減るかもしれない」とお金に固執したりすると、転職はハードルが高いと感じるかもしれません。しかし、新しいチャレンジだと考えれば、そう怖くはありません。
私自身、2度の転職をしました。また、経営コンサルタントして仕事をすると、プロジェクトごとにクライアントが変わり、業界も業種も代わりますから、2~3ヶ月ごとに転職しているようなものです。
その経験から、私は転職にはポジティブな考えを持っています。
その大きな理由のひとつは、異文化を理解し受け入れる素地ができるからです。
会社が変われば、仕事の進め方やスピード感の違いから、新しい学びが得られます。しかし重要なのは、そういった表面的なものよりも、文化や価値観が変わり、それを受け入れ順応しようとする自分になれることです。「おらが村」の中だけでは、価値観が固まり、異文化を受け入れなくなってしまいます。日本の外交が下手だと言われるのも、日本的価値観だけで物事を捉え判断しようとしているからかもしれません。
しかし、今後増加するであろう、プロジェクトベースでメンバーが異なる機会、外国人と一緒に仕事をしていく機会を自らのチャンスにしていくには、彼らの文化や価値観を受け入れ、理解していく準備をすることもまた、必要なんだろうと考えています。