総背番号制と年金一元化はセット?
年金制度改革の議論が始まっています。この手の議論は本当に形になるかあやしいところはありますが、少なくとも議論しなければ形になることもないので、いろんな議論があることは歓迎してもいいでしょう。ところで、最近気になる議論に「年金一元化の議論が形になるのは、国民総背番号制が確立してから」というものがあります。どうやら与謝野経済財政相が国会で発言した内容がベースのようですが、もっともらしいようで、もっともらしくない話です。本当に総背番号制と年金一元化はセットなのでしょうか。
今すぐにでもできる年金一元化は会社員と公務員の一体化
いわゆる年金一元化というのは職業や立場に関係なく同じ年金制度に入ることです。日本に住む人は「国民年金」という枠組みでは同じ制度に入っており一元化のベースはあるのですが、国民年金は年額80万円にもならないため(未納期間があるともっと少なくなる)、もっと充実した制度に一元的に入れるようにしたいわけです。現状では働き方や立場の違いによって、
国民年金のみ(保険料を払う)……「自営業者」「(就職していない人(無職の人や学生など)」
国民年金のみ(保険料は払わない)……「専業主婦」
国民年金+厚生年金……「会社員」
国民年金+共済年金……「公務員」
といった区分になっています。これを一気にひとつの制度にしようとするとなかなか難しいところがあります。
しかし、今すぐにでもできる年金一元化があります。それは会社員の厚生年金と公務員の共済年金の一体化です。公務員については地方公務員と国家公務員の共済年金があり、これはほとんど厚生年金と同じ設計だからです。
制度の仕組みはほとんど同じでありながら、別の制度にしている関係で、「公務員→会社員」になったときには別の制度に移ることになったり、資産の管理・運用も別々だったりしています。一体化してしまったほうが効率的な運用ができるのではないでしょうか。
しかし、この「簡単な一元化」は実現が難しいとされています。なぜでしょうか。
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