公演期間は通常の本公演と同じく、宝塚、東京共、各一ヶ月間。長いようで、でも始まってしまえば短く感じるひと月で、宝塚歌劇の舞台人としてこれまで培ってきた実力のすべて、魅力のすべてをファンに見せます。
公演の内容は、トップスターの退団を意識したものとなります。
芝居は、“ラストシーンは一人去って行く”といったストーリーが多く、ショーでも歌詞や振りに惜別の想いが込められており、それが更に観客の涙を誘います。
現在、宝塚大劇場では、ゆうさんこと花組トップスター・真飛 聖さんのサヨナラ公演中。
サンタモニカを去ってゆくフレディーが話す台詞は、宝塚歌劇団を去ってゆく真飛 聖の言葉そのもの。
ショーでも、真飛さんが組子の顔を見渡す振りや、黒燕尾の男役さんたちが大階段に作る「Y」の形に胸が熱くなります。
ストーリーや演出、歌詞や振りや台詞には、「宝塚の偉大なトップスターの最後の花道を、最高に美しく飾ってあげよう」といった演出家らスタッフの愛を感じます。
また、いっしょ出演している組子たちの「私たちのトップさんのためにいい舞台を」「このトップさんの元、舞台に立てるのはこれが最後なんだ…」……そんな想いや緊張感が伝わってきます。
では近年の歴代トップスターのサヨナラ公演をご紹介しましょう。
芸名 | 退団年 | 退団作品 |
安奈淳 | 1978年 | 『風と共に去りぬ―スカーレット編―』 |
鳳蘭 | 1979年 | 『白夜わが愛』 |
汀 夏子 | 1980年 | 『去りゆきし君がために』 |
松あきら | 1982年 | 『夜明けの序曲』 |
順みつき | 1983年 | 『霧深きエルベのほとり』『オペラ・トロピカル』 |
瀬戸内美八 | 1983年 | 『オルフェウスの窓~イザーク編』 |
麻実れい | 1985年 | 『花夢幻』『はばたけ黄金の翼よ』 |
大地真央 | 1985年 | 『二都物語』『ヒート・ウエーブ』 |
峰さを理 | 1987年 | 『別離の肖像』 |
高汐 巴 | 1987年 | 『あの日薔薇一輪』『ザ・レビュースコープ』 |
平みち | 1988年 | 『たまゆらの記』『ダイナモ!』 |
剣 幸 | 1990年 | 『川霧の橋』『ル・ポァゾン 愛の媚薬』 |
大浦みずき | 1991年 | 『ヴェネチアの紋章』『ジャンクション24』 |
日向薫 | 1992年 | 『紫禁城の落日』 |
杜けあき | 1993年 | 『忠臣蔵-花に散り雪に降り-』 |