ストーンズの曲の由来にもなったロシア文学
黒猫の登場シーンが最高。河出書房新社刊。
舞台はモスクワ。ある春、悪魔ヴォランドがあらわれた日を境に、作家教会の議長が轢死したり、黒魔術ショーが開かれたり、劇場関係者が姿を消したり、怪事件が次々と起こる。ヴォランドの手下で、人間の言葉をしゃべり二足歩行する黒猫ベゲモートをはじめ、ヘンテコなキャラクターが多数登場し、一つひとつのエピソードが不条理で滑稽。
一方で、原稿を掲載してもらえない「巨匠」と、人妻マルガリータの純愛物語が切ない。一度燃やした原稿が灰の中からよみがえるシーンもいいけれど、わたしが好きなのは、マルガリータが空を飛ぶところ。シャガールの絵を想像した。