手軽な財形貯蓄は、会社員の積立の王道
お給料が入ったら一番に考えたいのが、貯蓄。一度に多額の貯蓄は難しいですが、少額でも毎月積立をしていくと効率よくお金が貯まります。積立の中でも、一番のおすすめは「財形貯蓄」。財形貯蓄は、勤労者の財産作りのために法律で定められた国の制度です。会社がこの制度を導入していれば、従業員は給与天引きで財形積立貯蓄ができます。
財形貯蓄には3種類あります。一般的な貯蓄を目的とした「一般財形貯蓄」、老後資金のための「財形年金貯蓄」、マイホーム取得資金のための「財形住宅貯蓄」と、目的に応じた貯蓄制度が用意されています。
財形貯蓄制度は803万人が利用、平均貯蓄残高199万円
この財形貯蓄、なんと803万件の契約が結ばれ、勤労者に広く利用されています。気になる貯蓄額の平均は約199万円。コツコツと貯めている様子がうかがえます。それぞれの貯蓄を見てみると、「一般財形貯蓄」は、549万人が利用し、平均貯蓄は200万円。「財形年金貯蓄」は、179万人が利用し、平均貯蓄額は 175万円。「財形住宅貯蓄」は、75万人が利用し、平均貯蓄額は246万円。マイホーム購入前の人が、積極的に財形住宅で資金を貯めているようですね(いずれも、平成28年度の報告より)。
財形貯蓄は利子の非課税、融資制度などお得な制度も
財形貯蓄には、いくつかの優遇制度があります。まず、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄をあわせて元本合計550万円までは、利子が非課税となります。利子にかかる税金は、原則20.315%(所得税と復興特別所得税15.315%、住民税5%)ですから、この優遇策はありがたいですよね。ただし、目的外での引き出しであれば、利子には課税されます。また、財形独自の融資制度を利用することができます。マイホーム取得に「財形住宅融資」が受けられます。
財形住宅融資は金利が比較的低めに設定されています。子育て世代には、子ども等を扶養する勤労者貸付金利引下げ特例措置が用意され、0.2%優遇されます。いずれも、当初5年間固定金利。これらは、利用するためには諸条件があります。一般のローンと金利を比較して、しっかりとチェックして利用したいですね。
平成29年4月から非課税払い出し要件が拡大しています
当初は、財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄において本来の目的(年金、住宅購入 等)以外で払い出す場合、利子が課税されていました。平成29年4月より非課税で払い出すことができる特例範囲が広がりました。平成29年4月以降、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の払い出しで、以下の場合は非課税となりました。
1)本人または生計を一にする親族が所有する家屋が災害等による被害を受けた場合
2)本人または生計を一にする親族に対して支払った医療費の年間合計額が200万円を超えた場合
3)本人が所得税法上の一定の寡婦又は寡夫に該当することとなった場合
4)本人が所得税法上の特別障害者に該当することとなった場合
5)本人が雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者に該当することとなった場合
災害で家に被害を受けた、医療費が高額になった、配偶者に先立たれた、特別障碍者になった、倒産やリストラなどで失業した時など、一定の要件を満たせば、非課税になるということですね。
このようなメリットがあるのであれば、とりあえず財形で積立貯蓄を始めるのが得策ですね。給与やボーナスから天引きされ、いわば強制積立のような財形貯蓄。知らない間に貯まっていたということになるかも。