不妊症/人工授精・体外受精・顕微授精

生殖医療の現場が舞台!映画『ジーン・ワルツ』の見所

2011年2月5日、生殖医療の現場を舞台とするミステリー、『ジーン・ワルツ』が公開されます。私も脚本監修を担当させて頂き、医療技術監修は以前ご紹介した産婦人科クリニックさくらの桜井院長が担当されています。映画の見所と桜井先生のインタビューをご紹介します。

執筆者:池上 文尋

sakurai

産婦人科クリニックさくら院長の桜井先生。映画『ジーン・ワルツ』の医療技術を監修されました

2011年2月5日、生殖医療のスペシャリストを主人公とする映画『ジーン・ワルツ』が公開されます。生殖医療の現場を舞台とした今回の作品では、私・池上も脚本監修を担当させていただきました。そして医療技術監修を行ったのは、以前こちらの記事でもご紹介させていただいた産婦人科クリニックさくら院長の桜井明弘先生です。

今回は、映画『ジーン・ワルツ』の見どころとともに、映画に携わられた桜井先生に映画制作の様子や制作中に感じられたことを伺ってきました。ミステリー作品である一方、産婦人科医療、特に生殖医療の問題をしっかりと取り上げているので、不妊治療中の方にも興味を持っていただける内容だと思います。

産婦人科医療の光と影に迫る映画『ジーン・ワルツ』

【概要】
『チームバチスタの栄光』『ジェネラル・ルージュの凱旋』などで知られる現役医師作家・海堂尊氏のベストセラー小説を映画化した医療ミステリー。『約三十の嘘』『NANA』の大谷健太郎監督がメガホンをとり、菅野美穂が主演を勤める。

【あらすじ】
帝華大学病院の医師で生殖医療のスペシャリスト・曾根崎理恵は、非常勤で廃院寸前の小さな産婦人科医院「マリアクリニック」の院長代理を務めていた。

しかし、大学病院のエリート医師・清川吾郎に、そこで国内でタブー視されている高度生殖技術を用いた代理母出産を行ったという疑惑をかけられてしまう……。

【キャスト・スタッフ】
キャスト:菅野美穂、田辺誠一、大森南朋、桐谷美玲、南果歩、風吹ジュン、浅丘ルリ子、白石美帆、片瀬那奈
監督:大谷健太郎
原作:海堂尊
脚本:林民夫
オフィシャルサイト『ジーン・ワルツ

医師として、そして一人の女性としてどうすれば今の医療の不条理を解消できるのだろう?そんなシチュエーションでのストーリー展開は多くの方に興味を持って頂けると思いますし、また考えさせられる内容でもあります。

現役医師が生殖医療を扱う映画制作を見て感じたこと

医療技術監修を担当された桜井先生に、撮影現場の様子を交えながら、今回の映画の見所について伺ってきました。以下、インタビュー形式でご紹介します。

―短時間ですが、医療現場を離れて撮影現場を見られた感想は?
撮影現場には大体5日間くらい立ち合いました。朝9時にスタジオ入りし、翌日の朝4時まで撮影に付き合った日もあります。

大がかりな映画撮影ということで大変な現場でしたが、監督や多くのスタッフの皆さん、俳優や女優たちとじっくりと演技や映画制作についてお話できたのは有意義でした。個人的には映画好きですので、映画撮影の現場に関われたこともよい刺激になりました。

―医療者ではないキャストによる医療行為の演技はどうでしたか?
専門的な医療知識をもたない女優さんや俳優さんが、医療行為の演技をするのは難しいことだと思います。特に最初は手術シーンなどはどうなるのだろうと思っていました。しかし、俳優さん、女優さんたちはさすがプロですね。こちらの説明から、短期間で現場の動きを再現されていたのは見事というしかありません。 医療行為の様子については、現場の臨場感や実際の手順が伝わる仕上がりになっていると思います。

―臨床経験を生かし、医療技術監修に携わってみて思われたことは?
日常は臨床の場で、患者さんと向き合って仕事をしているわけですが、今回の仕事は、より多くの人に生殖医療について考えてもらうチャンスとしても、意義のある仕事だと思えました。また今回のような医療技術監修のお話があった場合は、医師経験を活かしてぜひ関わらせて頂きたいと思います。

―撮影現場でのウラ話や印象に残っていることを教えてください
撮影現場を見て思ったのは、映画制作というものは本当に大変だということです。何もないスタジオに建物を作るところから始まり、長い撮影と編集を経て、ようやく一つの作品が完成するわけです。役者さんや監督だけではない、実に多くのスタッフが寝る間も惜しんで働いているのだと思いました。完成した映画の試写を観た時には、彼ら全スタッフの苦労や想いを思い起こしましたし、自分が立ち会ったシーンは特に感慨深いものでした。

今回の主演は菅野さんですが、CMなどで見る可愛らしさとはまた違う魅力が見られると思います。私も以前から素敵な女優さんだと思っておりましたが、今回の仕事でプロとしての側面を拝見し、すっかりファンになりました。

―医療技術監修者の立場から、この映画の見所を教えてください
そもそも私がこの映画の医療監修を引き受けたのは、産婦人科医療、特に産科医療の崩壊や不妊治療について取り上げていたからです。これらは、なかなか一般の人たちの話題にのぼりにくい社会問題だと思います。問題について、真摯に取り上げられている姿勢に共感しました。

できあがった作品を観て思ったのは、この映画は是非、全女性に観てもらいたい、そして女性を愛する男性にも観てもらい、ということです。妊娠、出産、そして不妊について、目をそらさずにみんなで考えるきっかけになる映画だと思います。

脚本監修と先生へのインタビューを通じて……

私は2010年11月公開の映画『うまれる』に続き、この『ジーン・ワルツ』にも関わらせていただきましたが、産婦人科や不妊治療に関する映画が数多く出てきたことには、時代の大きな流れのようなものだと感じています。

このような映画を通じて、より多くの人が婦人科医療に関するテーマを身近に感じ、命の尊厳を考える機会を持っていただければと思うこの頃です。

(参考サイト)
産婦人科クリニックさくら
『ジーン・ワルツ』の医療技術監修を手がけた桜井院長にレディースクリニック。一般的な婦人科診療から高度生殖医療まで幅広く女性の健康をサポートしています。

※今回の映画監修についての詳細は、先生のブログでも読むことができます。
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