土地活用のノウハウ/入居者ニーズとマーケティング

土地活用の新しいキーワード、それは「高齢者」(2)

高齢者向けの土地活用は、非常に高いニーズがあります。事業化の検討には、まずお持ちの土地・建物が「高齢者のための住宅」にふさわしいかどうか調査・マーケティングして判断する必要があります。次に、運営主体となる事業者を見極める必要があります。また、「高齢者のための住宅」には、賃貸住宅系と施設系がありますので、どの方法がよいか検討するため、公的機関・団体に対する事前診断・相談が必要となります。

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

高齢者向けの土地活用を検討するなら、ここに注意!

前回、高齢者向けの土地活用は非常に高いニーズがあり、また、社会貢献にもつながることをお話しさせていただきました。

土地活用

常識にとらわれない新しい土地活用の検討

具体的に「高齢者のための住宅」を検討する場合、様々な方法があります。地主が土地を提供し事業者が建物を建築して、地主は地代を受け取る方法。あるいは地主が建物を建築して家賃を受け取る方法。また既存の建物を改修して活用する方法。立地に応じて手法も異なってきます。

また、国や自治体から補助金や助成金の出る事業と、自力で任意で行う事業があります。

まず、第1段階として、自分の持っている土地や建物が、「高齢者のための住宅」にふさわしいかどうかを調査・マーケティングして、判断する必要があります。

(1) 地域に利用者ニーズがあるか。
(2) 住宅・施設で働くヘルパーやスタッフが集まりやすい場所であるか。
(3) 利用者の家族が遊びに来やすい場所であるか。
(4) 行政の支援や、病院等の医療施設との連携はうまくできそうであるか。
……等々をしっかりマーケティングすることが必要です。

また運営主体となる事業者をしっかり見極める必要があります。市場の成長が期待される一方で、悪質な事業者や、単に儲けだけを考えて新規参入し、さほど儲からないと思えばさっさと撤退するような事業者も後を絶ちません。

事業者の長期的なビジョンと社会的責任、そして実績や財務体質などをきっちりと調べることが大切です。短期間で事業者が倒産し、残された建物の再利用に困って私どものところに相談に来られたケースもいくつかあります。

もし、あなたが運営を依頼したいと思える事業者が現れた際には、実際に運営している施設に足を運んで、自分の目で確かめてみることをお勧めします。

高齢者向け土地活用の検討は、自分の将来を考える良い機会

「高齢者のための住宅」について真剣に考えることは、決して他人事ではありません。自分たちの将来、子供たちの世代がどうあればいいかを考えることでもあります。

たとえば高齢者の介護の問題が深刻化して、ひとつの家族が崩壊してしまうことがあります。そのような不幸を招かないために、あなたが提供する住宅が解決し、多くの人々を救う場合もあります。

高齢者が安心して住むことができる住宅をあなたが用意することができれば、多くの人々に幸せをもたらすことができるのです。そのような社会貢献を目指される方がどんどん出てくることは、巡り巡って、あなたや家族の将来への安心にもつながるのです。

「高齢者の居住の安定確保に関する法律」が平成13年に制定されました。高齢化社会に対応した住まいの確保に国も苦慮しているのです。高齢者向け優良賃貸住宅を作ろうとしている認定事業者には補助金を交付しています。

高齢者向けの住まいは、優良な運営事業者と一緒にしっかりと取り組めば、これからの土地活用の手段としてとても有望です。

ただし補助金や助成金への考え方ですが、決して、社会貢献型事業を行うあなたへのご褒美的なものではないと認識してください。この予算は、利用者のためにあるものなのです。

そして福祉事業は、経営が順調に軌道に乗ったとしても、アパートやマンションの経営に比べれば利益率が低いものなのです。補助金をいただいても、賃貸住宅経営に比べて利益が少なくなります。その利益減少分が、社会に対する皆さまの還元なのです。
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