通所リハビリテーション・デイケアとは
通所リハビリテーション、いわゆる「デイケア」では、機能訓練を受けることもできます
病気やケガで入院した場合、医療機関で治療やリハビリテーションを受けることになりますが、医療保険を適用できるリハビリテーション期間は限られています。例えば、脳卒中などの脳血管障害で最長180日、骨折など手足の損傷で最長150日、肺炎などの呼吸器疾患で最長90日などです。こうした場合は、介護保険のリハビリテーションサービスを受けることになります。
通所リハビリテーションは「デイケア」と呼ばれるもので、送迎バスによって老人健康保健施設などに通い、理学療法士や作業療法士などによる機能回復訓練を行うサービスです。以下、「デイケア」と表記します。食事や入浴といった生活援助サービスを合わせて受けることができるほか、「1時間以上2時間未満」といった短時間の利用も可能で、病院に治療に行くのと同じような感じでリハビリのためだけに通うこともできます。
機能訓練のメニューや、生活援助サービスの内容は事業者によって異なるので、利用にあたっては実際に施設を見学に行くことをオススメします。できれば要介護者本人と一緒に見学に行って、他の利用者やスタッフの雰囲気などもチェックすると良いでしょう。
このサービスは主治医の指導のもとに行われることになっているため、退院や施設からの退所が決まったり、通所によるリハビリをしようと思ったら、まずは主治医に相談してみましょう。
通所リハビリテーション・デイケアの訓練内容は3種類
デイケアで行われる機能回復訓練は、大きく次の3つに分けられます。- 理学療法……体操や運動、マッサージなどによって、日常生活に必要な基本動作を行う機能の維持・回復をはかる。理学療法士(PT)が行う
- 作業療法……工作や手芸、家事など日常活動と同様の動作を通じて、心身の機能や社会適応力の維持・回復をはかる。作業療法士(OT)が行う
- 言語聴覚療法……発声や発語などの言葉の訓練、嚥下の機能訓練などを行う。言語聴覚士(ST)が行う
介護者にとってのメリットも大きいデイケア
通所型のサービスは、要介護者を介護のプロに預けることができるため、介護を行っている家族にとっては、普段なかなかできない家事や趣味の時間をとるのに最適です。長年一緒に暮らしてきた自分の親を介護している場合でも、24時間365日体制で一緒にいると、どうしてもストレスが溜まってしまうもの。要介護者と介護者双方の気分転換をはかる意味でも、状況が許すようなら積極的にサービスを利用することをオススメします。
また、施設で安全に入浴させてくれるのも、介護家族にとっては非常に助かるポイントです。自宅での入浴が難しくなってきた場合も、通所型サービスの利用を検討してみましょう。
ガイドである私自身は、数年にわたって両親の遠距離介護をしていたのですが、普段の両親の様子がよくわからないことへの不安をなかなかぬぐい去ることができませんでした。通所型のサービスを利用するようになって、少なくとも施設にいる数時間は安全で、なおかつ食事や入浴のお世話をしてもらえることに、大きな安堵感を覚えたものです。
身体の状況によっては、デイケア以外のサービス利用も検討を
リハビリテーションについては、訪問リハビリテーションでも受けることができます。自宅で実際の生活に合った機能訓練を1対1で受けることができ、移動などによる肉体的な負荷も無いため、退院直後などで体力的に自信がない場合などは、訪問リハビリテーションを利用するのも良いでしょう。
デイケアと訪問リハビリテーションの大きな違いは、次の通りです。
■デイケアのメリット
- 専用のリハビリ機器など、リハビリテーションを受けるための環境が整っている
- 食事や入浴といった、リハビリテーション以外のサービスを受けられる
- 他の利用者と交流する機会があり、閉じこもりの解消にも効果がある
- 自宅での手すりの使いこなしなど、日常生活に沿った訓練を受けることができない
- 1対1の訪問リハビリテーションに比べると、1人の利用者への目配りや個別メニューには限度がある
- 退院直後など体力が回復するまでは、利用者本人への肉体的な負担が大きい
■訪問リハビリテーションのメリット
- 住み慣れた自宅で、日常生活に即した訓練を受けられる
- 1対1でサービスが受けられるため、きめ細かな部分まで目配りをしてもらえる
- 利用者のペースで訓練を受けることができる
- 大型のリハビリ機器を使えないため、訓練の手段が限定される
- 食事や入浴といった、リハビリテーション以外のサービスを受けられない
- 他の利用者と交流することができない
また、同じ通所型のサービスとしては通所介護(デイサービス)というものもあります。こちらは、機能回復よりも食事や入浴、レクリエーションなどに重きを置いた内容となっています。
デイケアの対象者
要支援1以上、要介護1以上デイケアの費用の目安
下記の自己負担額は、すべて負担割合が1割の場合。負担割合が2割、3割の人の場合は、それぞれ2倍、3倍の金額が自己負担額となります。■要支援の場合
- 要支援1……22,680円/月(自己負担額:2,268円/月)
- 要支援2……42,280円/月(自己負担額:4,228円/月)
※上記以外にも、サービス提供体制や内容などによって、費用が加算される場合がある。
■要介護の場合
要介護1
- 1時間以上2時間未満……3,690円/回(自己負担額:369円/回)
- 2時間以上3時間未満……3,830円/回(自己負担額:383円/回)
- 3時間以上4時間未満……4,860円/回(自己負担額:486円/回)
- 4時間以上5時間未満……5,530円/回(自己負担額:553円/回)
- 5時間以上6時間未満……6,220円/回(自己負担額:622円/回)
- 6時間以上7時間未満……7,150円/回(自己負担額:715円/回)
- 7時間以上8時間未満……7,620円/回(自己負担額:762円/回)
要介護2
- 1時間以上2時間未満……3,980円/回(自己負担額:398円/回)
- 2時間以上3時間未満……4,390円/回(自己負担額:439円/回)
- 3時間以上4時間未満……5,650円/回(自己負担額:565円/回)
- 4時間以上5時間未満……6,420円/回(自己負担額:642円/回)
- 5時間以上6時間未満……7,380円/回(自己負担額:738円/回)
- 6時間以上7時間未満……8,500円/回(自己負担額:850円/回)
- 7時間以上8時間未満……9,030円/回(自己負担額:903円/回)
要介護3
- 1時間以上2時間未満……4,290円/回(自己負担額:429円/回)
- 2時間以上3時間未満……4,980円/回(自己負担額:498円/回)
- 3時間以上4時間未満……6,430円/回(自己負担額:643円/回)
- 4時間以上5時間未満……7,300円/回(自己負担額:730円/回)
- 5時間以上6時間未満……8,520円/回(自己負担額:852円/回)
- 6時間以上7時間未満……9,810円/回(自己負担額:981円/回)
- 7時間以上8時間未満……10,460円/回(自己負担額:1,046円/回)
要介護4
- 1時間以上2時間未満……4,580円/回(自己負担額:458円/回)
- 2時間以上3時間未満……5,550円/回(自己負担額:555円/回)
- 3時間以上4時間未満……7,430円/回(自己負担額:743円/回)
- 4時間以上5時間未満……8,440円/回(自己負担額:844円/回)
- 5時間以上6時間未満……9,870円/回(自己負担額:987円/回)
- 6時間以上7時間未満……11,370円/回(自己負担額:1,137円/回)
- 7時間以上8時間未満……12,150円/回(自己負担額:1,215円/回)
要介護5
- 1時間以上2時間未満……4,910円/回(自己負担額:491円/回)
- 2時間以上3時間未満……6,120円/回(自己負担額:612円/回)
- 3時間以上4時間未満……8,420円/回(自己負担額:842円/回)
- 4時間以上5時間未満……9,570円/回(自己負担額:957円/回)
- 5時間以上6時間未満……11,200円/回(自己負担額:1,120円/回)
- 6時間以上7時間未満……12,900円/回(自己負担額:1,290円/回)
- 7時間以上8時間未満……13,790円/回(自己負担額:1,379円/回)
※上記以外にも、サービス提供体制や内容などによって、費用が加算される場合がある。
デイケアの申込先
■要支援の場合主治医に相談のうえ必要と判断されたら、地域包括支援センターで介護予防ケアプランを作成してもらう。
■要介護の場合
主治医に相談のうえ必要と判断されたら、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう。