アドリブで一幕踊りきる回路
恋はアドリブだと常々思う。誰かとの関係においては事前に準備することに意味はないし、準備したことをパフォーマンスしても相手の心は動きがたい。そして、そのアドリブ力は年齢があがるほど大切なものになっていく。36歳のH子は、長年の友だちだったIくんと今年、急速にいい感じなった。けれど、友だち以上になるキッカケがつかめない。そんな時、金曜日にご飯を食べることに。夜中まで話し込んでいるうちに、H子は、突然、「土曜日に仕事が休めるなら、このまま沖縄に行こうか」と思いつきで言ってみたのだという。
「もっと仲良くなりたい」という意識があったとはいえ、別に深い意味はなかった。仕事、仕事の毎日に疲労困憊して、逃避願望があったIくんは、思わず賛同。
実際に沖縄に行ってみたら、自然と一緒に過ごす時間も長くなり、お泊りにもなるわけで……。日常を離れたところで、素直になれる。だからこそ、急展開する恋愛だってある。珍しいようで、実は似たような例は他にもある。
経験やセオリーが頭のなかを占め付くし、動けなくなる前に、目の前の相手と自分に忠実になろう。