癌手術後……どうしても気になる痛み

お腹の痛み

術後の痛みは、色々と不安なことが頭をよぎって心配が募るものです。

緊張と不安の中で受けた癌の摘出手術。手術後は、安心感を感じる一方で、いつ退院できるか、日常生活に復帰できるか、そして、再び病気が悪くならないか、など色々な不安が頭をよぎるものです。

さらに、現実的な問題として出てくるのが術後の痛み。痛みというのは、私たちに大きなストレスになりますが、手術後の痛みとなると「状態が悪くなっているのでは?」「何か体の中で起こっているのでは?」「手術の影響で痛みが長引いているのでは?」など、これまた色々な不安が押し寄せてきます。

主治医に相談すると「痛み止めで様子を見ましょう」と意外にあっさりとした返事が返ってきただけで、不安が拭いきれなかった……という方もいるようです。今回は、どうしても気になる術後の痛みについてお話しましょう。

術後の痛みの主な原因

手術と創部痛

手術では、皮膚や筋肉の神経が傷つくことにより、数日の痛みが出ることは致し方有りません。しかし、それ以上に長引くのは少し問題です。

まず知っておいてほしいことですが、癌に限らず、手術後はどうしても痛みが出るものです。手術を行う際には皮膚や筋肉を切開するので、これらの創による痛みはどうしても避けることができません。

手術中は局所麻酔や全身麻酔で痛みを取りますし、全身麻酔であればお薬で眠っている状態になります。これらの麻酔で術中には痛み感じることはありません。また、手術直後は、手術中の麻酔薬が効いていることもあります。手術の内容によっては術後数日間もしっかりした鎮痛処置を行うこともあるので、痛みはほとんどなく経過されるケースが多いです。

しかし、手術から数日経過し徐々に回復に向かい出すときに、強い痛みが出る場合や、また、退院後に痛みが出ることもあります。場合によっては、1~2ヶ月から数年間痛みが続くケースもあります。

注意すべき癌手術後の痛み……創部の感染

主治医へ相談

手術の痛みが続いたり、痛みがどんどん強くなったり……不安なことがあれば、やはり主治医に相談することが重要です

手術後の痛みは、皮膚や筋肉の神経が損傷を受けるために生じるもので、やはりさけられないものと考えられます。そこで、内服薬や坐薬、注射薬等を用いた鎮痛処置を行いますが、通常は、1~2日後をピークとして痛みは和らいでいきます。

しかし、術後、数日経っても痛みがひかない、もしくは以前より痛みが強くなるという場合には注意が必要。

そのような場合に多いのは、創部の感染による痛み。いわゆる「創(キズ)が膿む」ことによって起こる炎症性の痛みです。このような場合には、創部が赤くなったり、少し腫れてきたり、また、膿が出てきたりという症状が見られます。術後の創部の感染は、手術の内容や患者さんの状態によっては、どうしても起こってしまうことがあります。このような場合は、創部を開放して洗浄・消毒するという処置が必要になります。

入院中であれば、医師や看護師が創部の状態をチェックしますが、外来での手術の場合などで上記のような症状が見られたときには、予約日以前であっても医療機関へ受診するのが良いでしょう。

長引く術後の痛みの原因と治療法

手術の創はきれいに治ったにも関わらず、痛みが続く場合もあります。例えば、胸部外科の手術などでは、肋骨と肋骨の間を広げて手術をする必要があるため、肋骨と肋骨の間や肋骨周囲の神経が損傷を受けやすいため、個人差はありますが、通常の腹部手術よりも痛みが長引くケースがあります。とはいえ、通常は1ヶ月単位で痛みは軽減していくことがほとんどで、通常の鎮痛薬で痛みがコントロール可能です。

しかし、数は多くはありませんが、術後の長引く疼痛に難渋する場合もあります。創部の治癒も問題なく、種々の検査でも経過は順調。しかしながら、患者さんは非常に強い痛みを訴えられるという場合があります。また、一般的な鎮痛薬では効果が見られないこともあります。

このような患者さんについては、ペインクリニック(疼痛外来)という痛みを専門とする外来をご紹介し、専門的な痛みの治療を受けていただくのが効果的な場合があります。

痛みというのは、生活の質を大きく損なうものですし、手術後であれば様々な不安を増強させる要因にもなります。しかし、痛みの原因やメカニズムがわかればずいぶん状況は異なってきます。

また、痛みは検査等で測定するのではなく、あくまでも患者さん自身の訴えが頼りの症状です。痛みについての情報は、主治医に積極的に伝えていくことも、非常に重要だと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項