これが、近年その存在が知られるようになってきた「男性更年期障害」の特徴です。原因は、加齢に伴う男性ホルモンの減少。男性ホルモンは20歳代を頂点として徐々に減り始め、うつや倦怠感、性機能の減退などを引き起こします。
メタボリックシンドロームや外的ストレスの脅威、パートナーとのコミュニケーションの行き違いなど、さまざまなリスクを抱え込む中高年世代を襲う、男性更年期。これを乗り越えるには、どうすればよいのでしょうか。
働き盛りも襲う「男性更年期障害」
Aさんは45歳の働き盛りです。ところが、あるプロジェクトのリーダーを任されているため、いつも緊張状態を強いられているそうです。そのせいか、性的な「現役年齢」であるにもかかわらず、性生活は不安定。「なかなか、その気になれない」「以前なら興奮した状況でも、感じにくくなってきた」と訴えられました。
それでも、パートナーの求めに応じて試みると、射精に至るまで勃起を維持しているのは5回のうち1回程度ということです。
問診の結果、男性ホルモンの不足を原因とする性欲減退であろうと考えられました。いわゆる「男性更年期障害」です。
男性更年期障害は「冬場の夕暮れ時」
対処の仕方が分からず途方に暮れる人も多い男性更年期
これに対し、男性の更年期障害には、女性ほど明確な目安がありません。それが始まる時期には個人差がある上、すべての男性が経験するわけでもないからです。そこで、どのように対処してよいのか分からず、途方に暮れてしまう男性が多いのです。
男性の更年期障害は、冬場の夕暮れ時に一人で歩く道に例えることができます。その心は「日が暮れ始めると、歩けるところまでは歩けるが、真っ暗になれば、立ち止まるしかない」――。
性機能関連の障害を招くことも
女性であれ、男性であれ、更年期障害はホルモンバランスの乱れで起こります。女性の場合はエストロゲンが減少することで、のぼせやほてり、イライラ感に見舞われます。男性の場合はアンドロゲンが減少することで、女性と同様の症状をきたします。ただ、女性と男性とでは、症状の現れ方が異なります。一般的に、女性の更年期障害は急激に始まるものの、数年で終わります。
これに対し、男性の更年期障害は比較的長い期間をかけて、ゆっくりと進行します。それだけに、障害に気づかない、自覚症状を認めないといったことも珍しくありません。
また、男性の場合には、性欲減退やED、射精障害、オルガズム障害など、性機能関連の障害を伴うことが多いのも特徴です。最近は、性的な現役世代である40代の患者さんから、ED改善を相談されるケースが増えています。
男性更年期に対するED治療薬の改善効果
EDの治療が更年期障害全般の改善につながることも
このほかにも、坑うつ剤や抗不安薬などを投与したり、カウンセリングを行ったりする治療法がありますが、安全で効果の高い手段として、ED治療薬の投与を勧めるクリニックが増えてきました。
実際、更年期障害で受診された患者さんの訴えが精神的、身体的なものであっても、問診でEDが認められた場合にはED治療薬の投与を勧められる場合があります。
さまざまな要因が絡み合っている患者さんには、そのうち1つの症状の改善が自信となって他の症状の改善を促す、一種の相乗効果を招く効果がみられることがあるからです。
医師の指導の下で正しく服用すれば、ED治療薬は男性更年期障害全般の改善にも効果があるといってよいでしょう。
>>男性の「更年期障害」って?
>>高齢者だからって…。ED治療を諦めない!