医療保険/医療保険の選び方

通院の保険が欲しい!?

今や、がんの治療も通院の時代。しかし、通院も補償される医療保険はなかなか見つからなくなりました。通院の保険は必要なのに……。なぜ通院なのか、今入っている医療保険はそのままでいいのかを考えてみました。

長島 良介

執筆者:長島 良介

生命保険ガイド

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がんの治療は入院から通院へシフト

通院の保険って必要なの?

通院の保険って必要なの?

「入院」と「手術」を主たる目的とした保険、医療保険。しかし現在は、がん等の重い病気の治療も入院の必要が無く、通院治療が常識となりました。また、診療報酬の改正、入院日数の短期化と医療のあり方が大きく変化しています。

はたしてこの変化に医療保険は対応できているのでしょうか。通院特約はどのように変わってきているのでしょうか。

短期化する入院日数

健康保険制度の破たんが取り沙汰され、医療制度の改革や、診療報酬の改定などにより、積極的な治療ができなくなった患者の入院が病院にとって大きな負担となってきました。厚生労働省「患者調査」によると、平均の入院日数は平成2年の44.9日、平成23年には32.8日と減少傾向が顕著です。

そこで入院施設をもつ病院は、入院をできるだけ避けた、往診治療、もしくは通院治療へ治療方針を変えています。

医療保険の入院限度日数は60日が平均的に

数年前は、長期医療に対応する入院限度日数が1000日という長期入院対応型の医療保険がありました。しかし現在、どの保険会社も60日の入院限度日数が標準化しています。

そのうち、入院限度日数「10日」なんて商品が販売されるかもしれませんね(もちろん、植物状態などで入院期間が長期になる場合は、入院限度日数の長い保険は有効ですが……)。

保険金不払いの原因? 「通院給付金特約」

先日、相談に来た方から「通院の特約が付いている医療保険を探しているのですが見つからなくって……」との希望をうかがいました。さて、この方の希望に合った保険はあるのでしょうか。

通院は「通院給付金特約」で保障されます。この特約が付いている医療保険ですが、実は今非常に少なくなってしまいました。原因の一つに、保険金不払いの原因になったことが挙げられます。

ちょっと話がそれますが、数年前、生命保険、損害保険の各社でかなりの保険金不払いがあり問題になりました。表面に浮き上がってきたのは、営業マンやセールスレディ、保険代理店の営業部門による、説明不足や保険金支払い部門の払い渋りでした。

しかし、原因の多くは「保険金請求漏れ」があったようです。保険金は保険契約者の申し出がない限り保険金を支払いません。というより支払えません。保険会社は契約者からの報告なくして、事故の事実を確認できません。請求漏れとは、すなわち契約者が請求を忘れた、もしくはしなかったという事実です。なかでも、通院給付金はかなり不払いがあったそうです。

請求漏れによって結果、不払いになっていたという面も

多くの方が、自分が入院した場合、加入している保険会社に入院給付金の請求をします。そして退院して数日後、入院日数に応じて入院給付金や手術給付金を受け取ります。

一昔前の医療保険には、入院給付金、手術給付金の他に退院後通院給付金という、退院後の通院日数に応じて保険金を支払う特約が付いていました。本来、入院した後なのですから、必ず一度や二度は通院しているはずですね。ところがこの特約、忘れてしまう人が多くて請求されることがなく、文字通り「不払い」だったとのこと。

入院給付金の支払実績を確認してみると、通院特約が付帯されているにもかかわらず、全く通院給付金が請求されていない例が多かったと分かったそうです。

アフターフォローをやってくれる営業マンや代理店から加入していれば、こういったことは起こらないかもしれません。ただ、今はダイレクトの通信販売による契約も増えている状況です。こうした事態を防ぐには、契約者はかなり保険に対して慎重である必要があります。

今の医療保険には通院特約がない!?

このような理由からかどうかわかりませんが、現在販売されている医療保険には、ほとんど通院給付金特約がなくなっています(一部の保険会社では販売されています)。

とはいえ、通院給付金は「入院1日当たりの給付金額の○割まで」といった制限があるため、1日当たりの通院給付金の金額も少なめです。受取額そのものは実際には決して高いとは言えません。

「通院特約は必要ですか?」

前述したご相談に対しての回答です。確かに通院特約は、入院日数が短くなった現在、ニーズは高いかもしれません。三大疾病やがんの診断時や退院時に受け取れる一時金の保険も、現在の短期入院化にはマッチしているといえます。通院特約のほかにも、こうした形で入院や手術以外にも受け取れる特約があるので、あわせて考えてみましょう。

最後になりますが、「そもそも通院のような小額の支出に対して保険で備える必要があるのか?」という点も検討してはいかがでしょうか。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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