脳炎とは・髄膜炎とは・脳髄膜炎とは

脳は、「脳脊髄関門」というバリアシステムを持っているので、通常は病原体が侵入できず無菌状態を保っています。しかし、風邪をこじらせたり、免疫力が低下していると、病原菌が脳内あるいは脳を包んでいる髄膜という膜に入り込んでしまいます。こういう病気を総称して、病原菌が脳内に入り込んだ場合を「脳炎」、髄膜に入り込んだ場合を「髄膜炎」といいます。この2つは同時に起こることもあり、その場合は「脳髄膜炎」と呼ばれることもあります。

脳炎・髄膜炎の症状

検査

病原体の特定は写真のような容器で培養しておこないます。ただし、ウイルスなどは、培養できないのでウイルスのDNAを直接抽出する方法で特定しますが、結果が出るのには時間がかかります

急に高熱と頭痛を訴える患者さんがいた場合、まず、私たちはこの病気を疑います。進行すると、意識が朦朧としたり、痙攣を起こしたりすることも。髄膜炎、脳炎になると、とくに首の後を痛がり、痛みのため首を前に曲げることができなくなります。これを専門的に項部硬直といいます。

適切な治療を早期に行えば、病原体が体から排除され完治しますが、ときには意識が悪いままであったり、後遺症を残すこともあります。


脳炎・髄膜炎の原因

さまざま病原体が脳炎、髄膜炎を引き起こします。ウイルス、細菌、結核、カビ(真菌)などが代表的ですが、ときにはがん細胞が原因になったり、寄生虫のこともあります。

多くは、ウイルス性で、安静と栄養バランスに気をつければ、風邪が治るように完治します。しかし、気をつけなければならないのは、単純ヘルペスウイルスの場合です。日本では年間に100万人に1人くらいの割合ですが、重篤な病状になることが多く、抗ウイルス剤を適切に使わなければなりません。

また、細菌性髄膜炎の場合、どこから脳内へ細菌が入り込んだのかをチェックしなければ再発しやすいので、副鼻腔炎(蓄膿症)があるかどうか鼻の検査をしたり、中耳炎など耳の検査を追加でしなければならないことも。

脳炎・髄膜炎の診断

まずは、熱と頭痛がいつからでたのかを問診します。細菌性髄膜炎やウイルス性髄膜炎は比較的急に起こるのですが、結核菌やカビ(真菌)の場合は1~2週間以上かけて症状を出すこともあります。病原体のなかには、数年かけて発症するタイプも。

そして、腰椎穿刺を行い、頭の中にある髄液をとります。腰椎穿刺は、背中に細い針を刺して検査をするのですが、局所麻酔をしながらやりますので痛みは少ないことが多いのです。しかし、腰が曲がっている高齢者の場合は、なかなか針をさすのが難しいので、レントゲンを使用しながら検査をすることも。そして、採取した髄液を培養し、病原体が見つかれば診断確定です。しかし、ウイルス性の場合は、病原体を培養するのが難しいので、病原体と戦う細胞である白血球の数を数え診断することになります。ウイルスのDNAを調べる検査を行えば、病原体の正体がわかりますが、多くはその検査をしなくても治癒します。

髄膜炎、脳炎の場合、MRI・CT検査だけではわからないことが多いのですが、ヘルペス脳炎の場合は両側側頭葉に特徴的な画像がでることもあるので、撮影することが一般的です。

脳炎・髄膜炎の治療

原因となる病原体がわかれば、その病原体に効く薬剤を点滴、あるいは内服で投与します。薬剤が効いて病原体が体内から減ってくれば、熱が下がったり、頭痛が改善します。

病原体が確定するまで時間が必要なので、治療開始時には経験的に効く薬を推測して投与します。治癒までの期間は、原因となる病原体によってまちまちですが、一般的なウイルス性髄膜炎の場合は1週間から2週間くらいです。

乳幼児の髄膜炎予防・Hibワクチン

乳幼児の髄膜炎の原因の半数を占めるインフルエンザ桿菌。それを予防するワクチンが、やっとこの日本でも認可が下りました(2010年11月25日現在)。任意接種のため、費用負担がかかりますが、効果があるワクチンですので、ぜひ接種をしたいところです。ワクチンについての詳細は「インフルエンザ桿菌(Hib)ワクチンの方法と効果」記事をご覧下さい。
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