株・株式投資

蝶ネクタイが制服?廃棄物処理の常識を覆した会社(3)

2回に渡って「株式会社真田ジャパン」の五月女明社長の話をお伝えしてきたが、今回はいよいよ制服の話。蝶ネクタイ?とあるように、このミスマッチが真田ジャパンの特徴の1つでもある。

川崎 さちえ

執筆者:川崎 さちえ

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これまで2回に渡って株式会社真田ジャパンの社長五月女明氏に、会社の理念やこれまでの苦労をうかがってきた。シリーズ最終回は、いよいよ「蝶ネクタイが制服?」の話を聞いてみる。

【バックナンバー】
真田ジャパンの歴史については
蝶ネクタイが制服?廃棄物処理の常識を覆した会社(1)

なぜ「人の幸福」を理念に掲げるようになったのか?
蝶ネクタイが制服?廃棄物処理の常識を覆した会社(2)

黄色のシャツに蝶ネクタイ 

実に鮮やかな制服。事業内容からは想像ができない。

実に鮮やかな制服。事業内容からは想像ができない。

真田ジャパンの特徴の1つが制服だ。黄色のシャツに蝶ネクタイ。このビジネスにおいては全く想像できないこの制服は、あまりにも特徴的であり、一度見ると忘れることができない。一方で、黄色のシャツは目立つのは目立つが、同じように汚れも目立ってしまうというマイナスの面もあるのは確かだ。ビジネスから考えれば効率的ではないのだが、なぜこのようなユニフォームにしたのか。

その理由を五月女社長はこう話す。

事業がうまくいきだして、自分の役目は会社の利益を社員さんに分けることで、それができればいいんだなと思っていました。でもある時、年配の社員さんのお孫さんが街でその社員さんがゴミ収集の仕事をしているのを見て、こう言ったんだそうです。

「おじいちゃん、あの仕事だけは辞めてよ」

このときすごくショックでしたね。私は自分の幸せを求めているだけで、社員さんの苦労や幸福は全く追求していなかったのです。そこで考えました。どうすれば社員さんの家族が誇れるような仕事になるのか?と。
まずは家族の方にこの仕事を知ってもらおうと思ったのです。そして、ユニフォームを黄色のシャツに蝶ネクタイにしました。すごく汚れが目立つ色だからです。汚れが目立つということは、ちょっと汚れれば洗濯をするようになります。干してある洗濯物を見て「おじいちゃんは、こんなすごいユニフォームを着て仕事をしているんだ」と思ってもらえる。そうすれば仕事のことも少しは理解してもらえるだろうと―

人に見られるから成長する 

このユニフォームにしてからは、社員さんの気持ちも変わったという。それまでは、街で作業をしていても特に目立つことがかかったので、誰も見向きもしない。車に乗っていても同じだ。誰も関心を示さない。でも、この目立つユニフォームを着ていると、みんなが見るようになった。ゴミ収集の車とこのユニフォームがミスマッチということもあるが、逆にいえば非常に珍しいからだ。

「人は、人に見られることで成長するんですね。このユニフォームにしてから、それがよくわかりました。社員さんは『見られてる』と意識しますからね。仕事をするときでも車を運転するときでも」

社長の思い切った行動は、結果的にプラスに作用したことになる。社員を思う気持ちがあったからこそ、事業は進むべき道を順調に進むことができたのだと思う。

次のページでは、専務である五月女美津江氏、五月女社長の奥様にご登場いただく。
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