油脂分なしの、野菜ごろごろカレー「エルブ」
中野駅北口にある行きつけの老舗の居酒屋「路傍」の夫婦から、「中野新橋に『エルブ』っていう洋食屋あるんだけど、小野ちゃんにぜひ食べてもらいたいな……」
と言われていたことをふと思い出し、某日東京メトロ丸の内線、中野新橋駅におもむいた。神田川を背にして徒歩2分と言ったところで、小奇麗な靴屋の地下に店があった。
「なに食べればいいんだっけ……」
とおすすめのメニューの記憶が戻らない。
「エルブ」の店先に行くとメニューの筆頭に、
「エルブカレーか、これだったかな……」
と思いながら、僕自身カレーは専門分野、迷いなく店に突入。店内はブラウンとアイボリーの色合いに統一されたシックな店内。店の奥にはアップライトピアノがデコレート。
「ライブもやってるのかな」
と席につき「エルブカレー」(ランチ価格800円)を注文した。
登場したカレーのデコレーションの美しさ、能書きには「油脂分を一切使用していない」とある。日本料理は別として、油脂を抜かせて美味しい料理を作るのは至難の業なのだ。特に洋食風のカレーであれば小麦粉と油が乳化した状態になって、美味しさを発揮するもの、インド、エスニックカレーでも油を結構使用しているものなのだ。
ちょいと半信半疑で一口いただくと、その奥深い美味しさに驚いてしまった。ほどよい辛さ、塩加減の塩梅も見事、これはかなり工夫されたカレーだと思われる。
料理長の長谷川氏に話を伺うと、彼は京橋の洋食屋名店で修行を積み、青山の老舗イタリア料理屋など、方々で料理技術を学んだそうだ。
カレーのベースは、長ねぎ、クレソン、カブ、ブロッコリー、カリフラワー、ジャガイモ、ニンジン、セロリ、きのこ5種類などなど、驚くほどの野菜が使われ、スープは鶏ガラ、野菜、ハーブ20種類で薬草である柿の葉やドクダミまで使われている。またスパイスは20種類で、なんとローズマリーなどが主体に添加されているのはカレー作りの基本からいえば奇抜な発想だろう。
そこに自家製されたカレールーと合わせて、2日かけて完成させるそうなのだ。これでサラダ、スープ(本格的なスープ)、ハーブティーで800円とは頭が下がる価格設定。
「ホントはもう少し値段を上げたいところなんですけど、土地柄これ以上はあげられないんです」
とのことだ。
次ページで、そのほかの人気メニューを紹介。