ついに量産初の“レンジエクステンダー”に乗った

シボレーボルト

量産モデル初となる発電のみに使われるエンジンを搭載した、5ドア4人乗りの電気自動車。リチウムイオンバッテリーで最大80km走行、さらにエンジンが発電用モーターを回すことで最大約500kmまで走行可能

2008年夏のこと。私はコルベットZR-1の試乗を兼ねて、破綻前のGMデトロイト本社を訪ねていた。ZR-1は、既報のとおり、世界のスーパースポーツに伍する超高性能モデルだったが、当時のGMがスーパーカーにうつつを抜かすほど気楽な立場にあったかというと、もちろんそうではなかった。出席者の中にも、そんな暇があったら日本のメーカーのように本格的なエコカーのひとつでも早く出してくれないか、と思っている人が何人もいたはずだ。実際、GMはその後一旦、転落の道を歩んでしまうことになる。

もっとも彼らが全く新世代カーに手をつけてなかったか、と問われれば、それは事実に著しく反している。彼らとて、世界第一級のエンジニアを多く抱える巨大メーカーだ。トヨタやVWが試すような技術は、もちろんひととおり研究開発されていた。そして、ZR-1の試乗会を前に、われわれの“意地悪な思い(スーパーカーを試乗しに喜んでデトロイトまで来たくせに、正義感ぶってエコカー云々をついつい言ってしまうといった)”に応えるカタチでお披露目されたのが、ボルトと呼ばれるレンジエクステンダーモデルのプロジェクトだったのだ。

そのとき、既に試験車は走り回っており、非常に完成度が高く、これにレンダリングのカタチ(=今、写真としてみなさんが見ているボルトの姿)が載っかれば、なるほどコイツは面白い存在になるかもと思ったものだ。試験車に描かれたボブ・ラッツ(副会長。当時は商品開発部門の責任者だった。この30年間において間違いなく自動車産業を支えたカーガイの一人である)の直筆サインが、やけにまぶしく見えたことを今でも覚えている。

あれから2年。その間、幾度もボルトはショーに展示され、コンセプトカーのお披露目もあったが、ほとんど市販モデルに近い個体を試乗できるというチャンスは、今回が初めてである。市販化の正式発表以来、詳細なシステムが明らかにされなかったことと、GMの燃費発表に誤解を招く表現があったことで、アメリカでは大論争(ボルトはEVか否か)に発展してしまったが、そんなこんなも含めて、まずは市販モデルに乗ってみないことには話が進まない。試乗会は上海近郊の未公開リゾート敷地内で開催された。