陪審制度と参審制度
日本の裁判員制度は、事実認定と量刑決定の二つを行う点で、陪審制とも参審制とも違う
陪審制:陪審員だけが(1)事実認定を行い、裁判官が(2)法律評価と(3)量刑を決する
参審制:参審員と裁判官が、(1)事実認定、(2)法律評価、(3)量刑決定の全てを合同で行う
これに対し、日本で採用される裁判員制度は、裁判員と裁判官が一緒に(1)事実認定と(3)量刑決定を行ないますが、(2)法律評価だけは、裁判官が単独で行う制度です。ですから、裁判員は有罪か無罪かを決定するだけでなく、有罪の場合には、たとえば「懲役○年」という量刑まで決めることになります。
市民参加制度は80以上の国や地域で導入
市民が裁判に参加する制度は、世界の80以上の国や地域で導入され、定着しています。先進諸国では、たとえば、アメリカ、イギリス、カナダ、ロシアは陪審制度を、フランス、イタリア、ドイツは参審制度を採用しています。このうち、最も古い歴史を有するのがイギリスの陪審制度です。イギリスでは、13世紀のことから陪審員が刑事裁判に参加し、18世紀には12名の陪審員が被告人の有罪・無罪を決める制度が確立されました。1776年にイギリスから独立したアメリカでは、憲法によって刑事裁判の被告人に陪審裁判を受ける権利が保障されています。1789年のフランス革命以降は、こうした刑事裁判への市民参加制度がヨーロッパ大陸諸国に広まっていきました。