タイ料理/東京のタイ料理店

タイ料理「タニ・キッチン鹿嶋山王店」…大森(3ページ目)

料理人が変わり、再出発を果たした「タニ・キッチン」。以前の荒々しさはないものの、そこには穏やかでほっとするような優しさに満ちた料理が待ち受けていた。上質な時間を過ごせる空間と料理を楽しそうに作る料理人表情も印象的だった。

佐藤 わか子

執筆者:佐藤 わか子

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自家製ハーブがたっぷり

ほか、この店で印象に残ったことは、ハーブ類が自家製であることだ。だから、料理にはこれらがふんだんに使われている。秋冬などはハーブが栽培できないときもあるだろうから、使用量は減るかもしれないが、基本的に料理人たちは、“タイで作っていた料理をそのまま作ることを心がけている”ため、ここでは香り高い料理を口にすることができるのだ(ただ、ランチのライスは、良心的な価格で提供したいという想いから、日本米になりますが)。あと、調理場がきれいであること、素材の切り方等仕事が丁寧であるのも印象深かった。

豚肉のハーブ和え

「豚肉のハーブ和え(ラープムー)」

現在、「タニ・キッチン」は2店舗あるのだが、以前より営業する南大井店はランチのみ。鹿嶋山王店はランチと夜の営業となる。ランチは料理人がふたてに分かれ、夜は鹿嶋山王店に集結。ひとりは麺やソース類を担当。もうひとりはヤム類など、各々が得意料理にチカラをそそいでいるようだ。

総じて、店は好みが分かれるかもしれない。タイ料理にクラシックは…とか、味はもう少しメリハリのあるほうが…と思われるかたもいらっしゃるだろう。しかし、土曜日の昼下がりや夕刻はとくに、緑を眺めながら料理を口にし、食後にコーヒーをゆっくりとすすれば、こんなジャンルのタイ料理店があったか…!と、ひとりほくそ笑んでしまうだろう。

知的好奇心旺盛なオトナたちが集う店

ここのオーナーは、タイはバンコク出身の女性と日本人男性のご夫婦。この間久しぶりにお会いしたのだが、おふたりとも以前にも増して、穏やかな表情をされていたのがとても印象的だった。現在は旦那さまが仕事を引退されて、店にたつようになったのだが…
…と、そうか。書いていていま気づいたのだが、ここはまるで、日常生活を心豊かに過ごされる、ご夫婦の第二の家のようなのだ。8人以上などの大人数でわいわいと愉しむような店ではない。異国の料理に触れながら、しっとりと寛ぐ場所。それはまさに、知的好奇心が旺盛なオトナたちが集う店なのである。オーナーご夫妻と話をしていたら、料理と店内の空気が妙にしっくりときたのは、きっとそのためだったのね。

「タニ・キッチン鹿嶋山王」は、駅から少し遠いのだが、駅前の雑居ビルや煌びやかなライトに照らされた複合施設のなかでは、馴染まない。この緑あふれる鹿嶋山王という場所にあってこそはじめて、この店の底力が発揮されるのではないかと思う。この店のオープンによって、鹿嶋山王周辺にタイ料理好きの人口が増える日もそう遠くはないだろう。とても素敵なことだと思います。

タイ料理「タニ・キッチン鹿嶋山王店」
所在地:東京都品川区大井7-29-8
営業時間:11:30~14:00 17:30~21:30L.O
TEL:03-3774-3555
定休:月曜
地図:Yahoo!地図情報

オフィシャルHP:「タニ・キッチン鹿嶋山王店

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タニ・キッチン南大井店
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