幼児の中耳炎のリスク・注意点
幼児は免疫記憶が乏しいので何回も上気道炎から鼻炎を起こします。幼児は解剖学的に耳管が短くて鼻炎からの炎症は直ぐに耳管から中耳に及びます。小児の気道に常在している菌(常在菌)が中耳炎の原因菌となります。小児では常在菌に対する免疫力(免疫記憶)が成人ほどしっかりしていません。中耳炎の主要な原因菌は、肺炎の原因菌と同じ。肺炎になると菌が血液中に入って、菌血症という症状が起きます。菌血症から菌が中枢神経系に入りこむと髄膜炎が起きます。髄膜炎は治療可能な感染症ですが時に重い後遺症を残す事があります。幼児の中耳炎を軽く見てはいけません。
成人が小児より中耳炎になりにくいのは免疫と解剖学的な理由が関係しています。ウイルスに対して免疫記憶ができるので、鼻炎にもかかることが減ります。繰り返して細菌にも感染して原因となる菌に対しても免疫記憶ができています。解剖学的に耳管も小児よりも長くなっているために、鼻炎から中耳に炎症が伝わりにくくなっています。
中耳炎をよく起こす子どもの場合、治療中にプールなどに入ってよいか疑問に思う人もいるようです。中耳炎といっても状態はいろいろですが、鼓膜に穴があいているかどうかで対応法が変わります。少なくとも、耳だれがある場合は鼓膜に穴があいている可能性が高いのでプールは難しいです。中耳炎治療中は、耳鼻科の医師に相談してから対応するようにしましょう。