米国株の注目企業2:金鉱株
ドルは慢性的な経常赤字に加えて急膨張しだした財政赤字によって急速に1ドル札あたりが持つ価値を失ってきています。為替均衡を決める経常赤字は財政赤字と密接にリンクしています。また赤字を埋めるために無制限にドル札が大量印刷され、ドル紙幣の持つ重みは薄くなることとも繋がっています。その結果、金、銀、小麦、コーヒー豆、綿花、砂糖などの商品が史上最高値、或いは何十年来という高値を取ってきています。ここで注目を集めているのが金鉱株です。日本の株式市場には金鉱株というのは少ないですが、米国にはいくつものメジャーな金鉱株が上場しています。金鉱株の最大手は、埋蔵量の時価で金・銀・銅合わせて約20兆円(金が8割を占める)と世界最大のカナダのバリックゴールド(ABX、ニューヨーク上場)です。同社はカナダ、北米、豪、アフリカ、南米などに多くの鉱山を保有します。2位は10兆円以上の埋蔵時価(こちらも8割が金)を持つ米国のニューモント・マイニング(NEM)で、北米、南米、豪などに主要な鉱山資産を持ちます。この2社が代表的なところですが、そのほかにも、世界4位の埋蔵量を持ちながらなぜか割安に放置されてきたキンロスゴールド(KGC)やモンゴルに未開発金山としては世界最大の埋蔵量を持つオルユトゴイ金山の開発権を持つアイバンホ(IVN)などがあります。
1000ドル以上の金価格がすっかり定着してきたので当然産金会社の利益は増します。しかも金価格上昇の一方で掘削コストはそれほど増えませんから、金価格の上昇幅以上の利益幅が産み出されます。1000ドルが1300ドルになれば金価格の上昇率は30%止まりですが、掘削と精錬に500ドルのコストが掛かるとすれば、産金会社の利益額は500ドルから800ドルへと60%も上昇するからです。金がいくら騰がってもコストは変りません。さらに重要なのは、昨年以降大手において金の生産コストが逆にコンスタントに下がってきているという点があります。これによって売り値は市場最高値を更新し続け、原価は下がるので値幅が増すという状況です。