カフェ/関東のカフェ

Cafe螢明舎(カフェけいめいしゃ)…千葉・市川(2ページ目)

30年近くに渡り、フレンチローストのネルドリップ珈琲と落ちついた空間を提供してきた螢明舎。八幡駅そばのお店には、アラスカを撮り続けた写真家、故・星野道夫が愛したカウンター席がありました。

川口 葉子

川口 葉子

カフェ ガイド

ライター、喫茶写真家。著書に『東京カフェ散歩 観光と日常』『京都カフェ散歩 喫茶都市をめぐる』(祥伝社)、『街角にパンとコーヒー』『東京の喫茶店 琥珀色のしずく77滴』(実業之日本社)他多数。雑誌、Web等でカフェやコーヒー特集の監修、記事執筆多数。Webサイト『東京カフェマニア』主宰。

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星野道夫との深い縁
 

星野道夫の本。

お店の書架には星野道夫の本が並んでいます。

私が螢明舎のテーブルについてひとりでキッシュとワインを楽しんでいる最中に、隣のテーブルの女性客が連れの男性に向かって星野道夫の話を始めるのを耳にしました。珈琲を運んできたスタッフが女性客に同意を求められて、
「はい。星野さんはよくあのカウンターに座ってらしたんですよ」

アラスカの自然を撮り続けた偉大な写真家、故・星野道夫は珈琲が好きでした。著書にはキャンプ中に珈琲を淹れて飲む光景がなにげなく綴られています。抽出器具は簡素だったはずなのに、彼が手にする珈琲のなんとおいしそうなこと。

フェアバンクスに家を持った彼が日本に一時帰国するとき、ベースキャンプにしていたのが螢明舎。星野道夫は千葉県市川市の生まれ。ご実家はいまも市川にあるそうです。

星野さんはなぜ、そんなにもお店を愛してくださったのだと思われますか。 そう下田さんに訊ねてみました。

「これは信じてもらえますか…私と彼の前世からの因縁のようなものに思えます。お互いが分身のような出会いであり、おつきあいでした。ですから、彼がお店にいるのは自然なことでした」

カウンター

カウンターの風景。

小さな焚き火が揺れている。
パチパチパチパチ、僕の気持ちをほぐしてくれる。
熱いコーヒーをすすれば、もう何もいらない。

やっぱりおかしいね、人間の気持ちって。
どうしようもなく些細な日常に左右されてゆくけど、
新しい山靴や、春の気配で、こんなにも豊かになれるのだから。

人の心は深く、そして浅い。
きっと、その浅さで、人は生きてゆける。

(『早春』より 星野道夫~『アラスカ 風のような物語』収録)

習志野市谷津店

習志野市谷津にもお店があります。

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