世田谷のアンティーク店　donum（ドナム）

お店があるのは、世田谷通りから一本入ってすぐのビルの２階。１階は「sodo」というカフェが入っています。（日光珈琲の豆を使って淹れており、ケーキもとても美味しいです。COEDOビールが全種類揃っているのも嬉しい。）カフェの脇に薄暗い階段があるのですが、看板も控えめで分かりにくいし、正直とても入りづらい雰囲気。秘密のアジトのようでちょっと躊躇してしまいそうですが、同時に不思議なワクワク感があります。勇気を出して、階段を上ってみてください。
店内は、中世の貴族の隠し部屋のような、学者の書斎のような、はたまたずっと忘れられ放置されていた倉庫のような、なんともただならぬ空間です。ハリー・ポッターの世界？？壁の向こうから妖しげな魔女でも出てきそうな雰囲気です。

意味深なディスプレイも興味深い店内。フランスやベルギーを始めとするヨーロッパのものが中心ですが、国籍や年代はあまり問わず、店主の感性にピンと来たものを集めています。

店名のdonum（ドナム）とは、ラテン語で「贈り物」の意味。「古いものが残っているのには、それなりの理由がある。」と語るのは、店主の相澤拓也さん。長い年月を経て大切にされてきたものには、それだけ様々な人々の想いが込められており、それが遠く海を渡って自分の手元にはるばるやってきた、というのは類まれなる出会いであり、はるか昔からの時を超えた贈り物なのでは、と感じているのだそうです。


相澤さんは元々はグラフィックデザイナー。昔はいわゆる”デザインバカ”でスタジオボイスやアンダーグラウンド好きだったそう。古いものにはそれほど興味がなかったそうですが、自分のブランドを立ち上げたとき、北欧のものが気になって、デンマークとフィンランドを旅しました。そこで見つけたのが1887年のテラコッタのお皿だったそうです。
「そのときは、ただシンプルにカッコイイから、という理由で手に入れたのが興味の始まり。そこから50～60年代の北欧デザインの面白さにハマってしまいました。だから最初の頃は北欧ものが多かったんですよ。ただ、自分は元来飽きっぽいので、興味の対象は常に進化しています。ドナムのブランドを始めて５年になりますが、最近はベルギーが多いですね。インテリアやファッションのレベルが高いから、出てくるものも面白い。食事も美味しいし建物も美しい、いい国です。刺激を受けることも多いですね」。

店内のディスプレイは、神話の世界のようなミステリアスな空気を醸し出していたりしますが、そんなムードに反して（？）店主は気さくで話好き。最初は恐る恐る入ってきたお客さんも、相澤さんと会話しているうちに、気づいたらあっという間に時間が経っていた、なんていうこともよくあるようです。
「店を始めて楽しいのは、結局人と会うことなんです。ものを使ってくれるのは人ですから。会話の内容も、アンティークの話なんかほとんどしていなかったり。身の上話をしてくる人もいるくらいです（笑）。でも、話すほど魅力的な人がたくさんいて、そういういろんな人たちに、永く大事にされてきたものを受け渡すことができるのは、すごく嬉しいですね」。


donum（ドナム）
東京都世田谷区世田谷2-14-3　TKビル2F
tel　03-3420-5877
http://donum.jp/
※営業日・時間等不定期のため、HPでご確認下さい。


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夏椿
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