求職者が増えても、採用数が増えなければ意味なし
たとえ既卒者にエントリーのチャンスが与えられたとしても、今度は別の問題が考えられます。それは、採用数自体は変わらないという点です。卒業後3年以内の既卒者が新卒としてエントリーできると、それだけ新卒枠に応募する求職者の数が増えることになります。しかしそれに対して、企業の採用数が増えるとは限りません。むしろ、採用数自体は変わらないと考える方が自然でしょう。
ただでさえ十分ではない採用枠に、これまでより大人数の求職者が押し掛けることに。それでは、現役の学生にとってはかえって大変になるという側面も出てきます。
「4年の夏以降に採用」という話も
別の話として、企業が採用活動を大学4年の夏以降にするという話もあります。これは、「就職活動が早すぎると、学業に支障が出る」という理由で、経団連が提案しているものです。経団連は加盟企業に対して、2012年卒や13年卒の採用活動から、4年夏以降の採用活動を実施するよう呼びかけていくと述べています。しかし、学生にとってはかえって混乱することにもなるのでしょう。 経団連加盟企業といっても、日本の企業すべてではありません。当然ながらこれまでのように3年秋から採用活動を行う企業もたくさん残るでしょう。それでは3年秋から採用をする企業と、4年夏から行う企業に分かれしまいます。
場合によっては、4年夏以降採用の企業は、すでにいい学生は3年秋採用企業に取られてしまっているという事態に直面する可能性もあります。
4年夏以降、採用企業の中に第1志望企業がある学生は、第1志望に落ちてしまったら、他に受けられる企業で残っている企業が少なくなってしまいます。