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アスベストが引き起こす中皮腫の治療薬承認(2ページ目)

アスベストが原因として問題になっていた悪性中皮腫の治療薬、「アリムタ」(一般名:ペメトレキセド)が発売されました。抗がん剤ですので、薬理作用や副作用も併せて説明しております。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

アリムタ(一般名:ペメトレキセド)について

化学療法(薬物療法)として用いられる抗がん剤といわれる薬で、効能・効果は、悪性胸膜中皮腫です。

細胞が分裂して増えていく際に、葉酸から合成されるテトラヒドロ葉酸という物質が必要なのですが、その合成を阻害することで、がん細胞の増殖を抑えます(葉酸代謝阻害作用)。

このとき、がん細胞だけではなく、正常な細胞の分裂・増殖も抑えてしまうため、それに関連する副作用が現れることがあります。特に、細胞分裂が活発な消化管に副作用が表れますと、悪心・嘔吐、食欲不振など、また、血液成分も細胞分裂が盛んですので、白血球や好中球、ヘモグロビン(赤血球)が少なくなることがあります。これに関連して、免疫機能が落ちることがあり、色々な理由から倦怠感も現れることがあります。これらの副作用を軽減するために必ず、葉酸およびビタミンB12を投与します。

アリムタは、500mgの粉末が入っているビンで販売されており、溶かして点滴として使います。また、シスプラチンという抗がん剤と併用して用います。

用法・容量は、1日1回、500 mg/m2(体表面積)を10分間かけて静脈に点滴します。その後、少なくとも20日間は、薬を投与しない期間をもうけて1コースとして投与を繰り返して使っていきます。

※上記の使用方法は、販売会社である日本イーライリリー社がアリムタ販売にあたり厚生労働省の承認を得た内容です。そのため、医師が症状や年齢、副作用などをみて色々判断して投与量が異なることがあります。医師の指示に従ってください。

また、一瓶500mgの薬価は240,649円ですが、費用負担は、加入保険の割合によって異なったり、労災や石綿救済法の対象になりましたら、医療費の自己負担分が支給されることもあるようです。


アスベストによる中皮腫は、徐々に発症することや、夫の服についたアスベストを吸い込んだ妻も発病したこともあり、社会問題になっています。色々考えることもあり、今回、アリムタをご紹介させていただきました。


*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の薬局での会話をもとに構成したものです。相談が必要な方は、医師や薬剤師に実際にお聞きください。
【参考リンク先】
中皮腫>がん情報サービス>国立がんセンターがん対策情報センター
悪性胸膜中皮腫治療薬アリムタの発売>日本イーライリリー
悪性胸膜中皮腫>日本イーライリリー
【参考資料】日経新聞、平成18年1月28日朝刊記事
【関連リンク先】
内服薬の種類を知ろう
注意したい薬の飲み合わせ
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