強迫神経症・不安神経症・パニック障害/強迫神経症・不安神経症

強迫観念がエスカレートしてしまう時(2ページ目)

何か不快な観念が生じたとしても、通常、私たちの心はその観念が強迫化しないように守られていますが、時には、うまく防衛できず、強迫観念となってしまう事があります。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

エスカレートしがちな観念のパターン

強迫神経症で見られる代表的な強迫観念には以下のようなものがあります。

・バイ菌や汚れに対する恐怖感
多くの方が汚いモノやバイ菌は苦手だと思いますが、汚れに対する恐怖感はエスカレートしやすい観念の一つです。自分の皮膚が傷つくほど、何度も手洗いをするようになったり、他人と体が触れるのを避けるばかりか、人の触った物を避けるようになる事があります。

・いつまでも消えない疑念
例えば、泥棒のニュースを見聞きした後なら、普段以上に、カギのかけ忘れが気にかかるかもしれません。しかし、何度も確認しても解消できないほど、疑念が強迫的になってしまう場合があります。いつまでも消えない疑念とそれを打ち消そうとする確認行為は強迫神経症でよく見られるパターンです。

・頭から逃れない不快な考え
欲求不満だったり、ストレスが強い時は、性的なイメージや暴力的な衝動が思いがけず頭に浮かんでくる事があるかもしれませんが、時には、こうしたイメージや衝動がどうしても頭から離れなくなってしまう事があります。

・過剰な正確さの要求
完全主義の人は何でも物事を正確に、決めた手順で行わないと気がすまなくなりがちですが、これがエスカレートしてしまうと、手順にこだわる余り、物事を行うスピードが大幅にダウンしてしまい、いつまでたっても終わらせる事ができなくなります。例えば、食事に数時間かかってしまうといった事が生じてしまう場合があります。

このように強迫観念がエスカレートしてしまう背景には、実は、脳内神経伝達物質のセロトニンの働きに問題が生じている事がわかっています。セロトニンの働きが悪くなってしまうと、観念に伴う不安や恐怖感を意識の外に追いやる事が難しくなるようです。自力でセロトニンの働きを良くさせる事は困難です。もしも、強迫観念がエスカレートしてしまった場合は、是非、精神科や神経科でご相談下さい。


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