何度も確認したのに玄関の鍵がかかっているか不安で出社できない……。重症化した場合は適切な治療が不可欠

何度も確認したのに玄関の鍵がかかっているか不安で出社できない……。重症化した場合は適切な治療が不可欠

強迫神経症になると、特定の事柄に対する不安や強迫観念が絶えず意識の中に押し寄せてきます。どんなに不合理とわかっていても、どうしても意識から払いのけられず、心を覆いつくす不安感にいても立ってもいられなくなり、言わば、強迫的な行動を繰り返してしまいます。強迫神経症は放置していても自然治癒は期待しにくいため、強迫観念に屈しないためにも治療が不可欠です。

強迫神経症の具体的な治療法について詳しく解説します。

薬物療法による強迫神経症の治療法

強迫神経症は、もともと完璧主義的な性格だから発症しやすいというものではなく、脳内の神経科学的な環境が原因している病気。薬物療法は原因となっている脳内環境の異常を正常化することを目的として行います。

使用する薬は各個人との相性を見ながら見極める必要がありますが、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)など、脳内神経伝達物質の一つであるセロトニンを調節するものが主に使用されます。

行動療法による強迫神経症の治療法

薬物療法に加え、強迫観念から生じる不安感に立ち向かい、強迫行為への衝動を自分でも抑えることができるよう訓練する行動療法。基本的には、あえて不安を生じさせる状況に立ち向かわせ、強迫行為を我慢することを続ける訓練を繰り返させることで、強迫観念から生じる不安感自体を減少させることにあります。

治療法の内容は個人個人の症状の状況に応じ、医師やカウンセラーによって課題が段階的に与えられていきます。たとえば施錠に関する強迫神経症患者さんに対しては、まず施錠に関する不安から避けている自宅からの外出をあえて試みさせます。それができるようになったら、「鍵がかかっていないのではないか?」という不安が強くても、あえて鍵の確認なしに外出するように順々に指導していきます。このような課題を繰り返し行うことで不安感が減少していきます。

心理療法による強迫神経症の治療法

心理療法は直接的な治療法というよりも、他の治療法の効果や治療の予後をよくする上で有効。強迫神経症治療では、一般的には薬物療法と行動療法を併用することで相乗的な効果を求めていきますが、回復を妨げる問題点がいくつかあります。

まず、本人が治療の意義を見出せていない場合。さらには治療そのものを望まないことも少なくないこと。心理療法を行なうことで強迫行為の不合理性を自覚できているにも関わらず、それを手放せなくさせている心の問題がある場合、その問題を理解し治療へのモチベーションを高めさせる必要があります。

また、心理療法によって強迫神経症の症状の悪化原因がわかった場合は、その原因を取り除くよう対処することができます。心理療法は強迫神経症の予後を良好にする上でも重要な治療法なのです。

精神科を受診するタイミング

強迫神経症のその他の問題点として、症状に気付いてから実際に精神科を受診するまでに何年も経過しているケースが少なくないことが挙げられます。例えば、菌への恐怖感から1日に数時間手洗いする状態になっていても、本人が精神的な疾患だと考えなければ受診のきっかけはなかなか訪れません。何か他の病気で皮膚科に行った場合などに不自然な手荒れについて尋ねられ、初めて強迫的手洗いが明らかになり、精神科を紹介されて、受診を検討し始めた、というケースもあります。

強迫神経症はもうつ病などの心の病気と同様、早期治療が良好な回復の第一条件。もしも強迫観念や強迫行為のために、しなくてはならない日常の仕事をこなせなくなっていたら、一度精神科(神経科)を受診するようにしましょう。
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