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吉祥寺。自然、雑踏と文化が活気を生む街

独特の雰囲気がある街の多い中央線の中でも、最も人気の高い吉祥寺。公園にデパート、商店街に戦前の風情を残す飲み屋街、ライブハウスなどこの街の多彩な表情が人気、住みやすさの決め手です。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

男女、年齢を問わず、住んでみたい街として人気の高い吉祥寺。都心からの足回りの良さはもちろん、吉祥寺自体の活気が多くの人をひきつける魅力です。いつも人があふれている街、吉祥寺の魅力、住みやすさを具体的に見ていきましょう。

新宿、渋谷の人気2大ターミナルと直結、深夜帰宅も可能

【吉祥寺周辺マップ】
吉祥寺駅周辺地図
井の頭通り、五日市通り、吉祥寺大通り、吉祥寺通り(公園通り)に囲まれたエリアが商業地帯

井の頭線
渋谷行き急行は停車駅の改札や階段の関係で渋谷寄り(先頭寄り)が混雑する
新宿から中央線快速で15分、渋谷から京王井の頭線急行で16分。新宿、渋谷の人気2大ターミナルに直結しているだけに、足回りの便利さは言うまでもありません。特に中央線快速は平日朝7時台に22本、同8時台に22本など、少し過密ともいえるダイヤで、混雑、遅延はあるものの、待ち時間は少なくて済みます。

中央線快速は終電も遅く、東京発が0時35分、吉祥寺着が1時18分。ちなみに、京王井の頭線の終電は0時33分渋谷発、1時01分吉祥寺着です。また、もっと遅くの帰宅なら、渋谷を1時15分に出る京王バスの深夜急行バス(1550円)があり、こちらを利用すれば2時10分に吉祥寺に帰りつけます。仕事や遊びで帰宅が遅い人にも安心な街というわけです。

吉祥時のバスターミナル
駅周辺に駐車場が少ないため、商店会などではバスなどの公共交通利用を勧めている
また、駅の北口、南口にはそれぞれバスターミナルがあり、北口からは主に上石神井や武蔵関、大泉学園など西武新宿線、西武池袋線方面、南口からは深大寺や調布、千歳烏山など小田急線、京王線、中央線方面などへのバスが出ています。




バス便

購入を考えたらバス便が中心になることが多い。運行状況などは事前に調べておきたい(クリックで拡大)

ただし、朝のラッシュ時や雨の日、休日の昼間などは渋滞がひどく、のろのろ運転も多いとか。平坦な土地だし、では自転車でと考えても、駅周辺には駐輪場が少なく、かつ武蔵野市では放置自転車の取り締まりはかなり厳しいとのこと。同様に駐車場も少ないので、余裕をもった暮らしを心がけるしかないようです。

デパートに商店街、闇市風の市場までなんでも揃う賑やかさ

アトレ吉祥寺

長らく親しまれてきた駅ビルロンロンは2010年9月にアトレ吉祥寺に。相変わらず賑わっている(クリックで拡大)

吉祥寺はココだけでほぼ何でも揃う街。例えば、買い物。中央口・北口側には正面にアーケードの続くサンロード商店街があり、入口近くには吉祥寺の観光案内を行う吉祥寺まち案内所が。サンロード商店街からは中央線と並行にダイヤ街が続いており、その手前には闇市風情を残すと有名なハーモニカ横丁があります。ただし、最近は若い人向けのしゃれた立飲み、バルが増えており、路地の秘密めいた雰囲気は残されているものの、暗い感じはなくなってきています。さらに大型店では東急百貨店、パルコ、ロフトにユニクロ、ヨドバシカメラ、西友、コピスなど。規模も種類も様々な店がひしめいています。

また、本館、東館と細長く続く、駅ビルアトレ吉祥寺も生鮮食料品から始まり、ありとあらゆる店が入っており、生活に必要なほぼすべてが揃うといっても過言ではありません。

kirarina

駅ビルアトレの後ろに見えているのが、京王井の頭線の駅ビルkirarina。ユザワヤなどの大型店も入っている(クリックで拡大)

さらに南口側では2014年4月に旧ターミナルエコービルが工事を終え、Kirarinaとして改装オープン。同年2月には2011年から行われていた駅の南北自由通路も竣工しています。こちら側には丸井、ドン・キホーテ、ライフ、ヤマダ電機などがあり、また、丸井の裏手には小規模でそおにしかない商品を扱う店も点在しています。


吉祥寺三浦屋
地元資本、地元で愛されるスーパー三浦屋。現在はコピス地下にある。オリジナル商品も各種
特に吉祥寺らしいのは早くからエスニック食材を置いていたスーパー三浦屋や、店内一杯に世界のキッチン雑貨を置くカーニバル、香港のジュエリーコンテスト入賞の宝石店や、文豪たちの手紙などもある古書店など、個性ある店が多い点。この街周辺には漫画家さんが多く住んでいますが、これは「紙やスクリーントーン、ペン先など必要なものが全部揃う文房具店が充実している」というのが理由のひとつ。同様に文化人や学生が多いせいでしょうか、古書店も含め、書店も充実しています。

基本的には井の頭通り、吉祥寺大通り、五日市街道、吉祥寺通り(公園通り)の4つの大きな通りに挟まれたエリアが中心ですが、最近では前出の東急裏を始め、ショップは周辺住宅街にも増殖中。お散歩がてら、新しい店ウォッチングも吉祥寺に住む楽しみです。

深夜も便利な外食天国

いせやのもつ焼き

建て直されて店はきれいになったものの、店内は相変わらずの賑わいのいせや。1本80円というもつ焼きの価格も変わらない(クリックで拡大)

外食では井の頭公園近くの老舗、焼き鳥のいせやに始まり、スペイン料理の草分け的レストランや味噌料理の専門店、サイズの大きさで有名なお好み焼き、行列のできるラーメン店や焼肉店に朝まで営業の居酒屋……。本当に何でもあり、しかも深夜営業も多いので、シングルや働いているカップルには便利です。

行列のできる店が多いのも吉祥寺ならでは。しかも、他の地域では一時話題になって、ブームが去るとそれでおしまいという行列が多いのですが、この街の行列は息が長いのが特徴。和菓子の「小ざさ」では1日150本限定のようかんを求めて朝3時から行列ができるそうですが、実はこの行列、私が高校生の頃からすでに有名でした。そのご近所の「肉のサトウ」のメンチカツ行列は比較的新顔ですが、それでももう何年も行列を作り続けています。長く愛される店が多いということなんでしょうね。

吉祥寺の顔、井の頭公園は地元のオアシス

井の頭公園のストリートパフォーマー
休日の井の頭公園には手品師、漫画の読み聞かせからミュージシャンまで、いろいろなパフォーマーが集合
吉祥寺といえば外せないのが井の頭公園。1917年(大正6年)に開園したこの公園は、日本初の郊外型の公園として作られたもの。約3万8000m2の敷地内には神田川の源流となっている井の頭池、象やサルもいる井の頭自然文化園、運動施設やジブリ美術館などがあり、季節、時間を問わず、大勢の人で賑わっています。特に桜の季節、花見客の多さはちょっと、びっくりするほどです。また、休日には、手品や紙芝居を見せるヘブンアーティストたちや、生演奏を披露するミュージシャンも出て、1日いても飽きないほど、いろいろなものが楽しめます。

井の頭公園

かいぼりが行われておかげで水がきれいになったそうだ。今後も何回か行われる予定(クリックで拡大)

井の頭公園は2017年に100周年を迎えるため、2014年に池の水を抜いて天日干しをする、かいぼりという作業が行われ、話題となりました。これは生態系の回復と水質改善を主目的としたもので、かいぼり後は水がきれいになったという評判です。また、三鷹の森ジブリ美術館の隣では西園の整備が行われています。ここは元々日産厚生園という、企業のスポーツ施設などがあった場所ですが、施設が廃止されたため、それを都で整備するという計画。東京都のホームページによればスポーツ施設などが増設される予定です。

公園以外では音楽の街としても知られる吉祥寺はライブハウスも多く、1974年オープンの「曼荼羅」を始め、有名アーティストを輩出してきた店も。ゴールデンウィークに開かれる「吉祥寺音楽蔡」では街のあちこちにステージが組まれ、無料でジャズを中心としたライブを楽しめますし、秋には薪能なども。2005年6月には公共ホールとしてはめずらしい、演劇とダンス専門の武蔵野市立吉祥寺シアターがオープン。文化が身近にある街でもあるわけです。

では、そんな魅力的な街、吉祥寺の住宅事情を次ページで見ていきましょう。
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