県下でも屈指の乗降客数に加え、
副都心線開業に利便性アップの期待も
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東武東上線は東京メトロ有楽町線と相互乗り入れしており、永田町や有楽町へも直通で行ける |
東武東上線急行で池袋から19分。志木駅は池袋や朝霞台、川越など、ターミナル、他線への乗換え駅を除くと、東武東上線内でも屈指の、9万6000余人の乗降客数を誇ります。駅東口には丸井、ダイエー、南口にはマイカルサティと充実した商業施設に加え、各方面へのバスターミナルもあり、駅周辺はいつも賑やかな雰囲気です。
加えて、平成20年度に開業が予定される地下鉄副都心線はこの地域と都心を直結、さらに横浜方面へも延伸するため、足回りの利便性の大幅アップが見込まれ、それを睨んだ住宅建設も多く進められています。今後、これまで以上の開発が進むであろうことは、間違いない地域というわけです。
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志木駅南口には新座市の生涯学習センター、男女共同参画推進プラザなどの施設が隣接しており、知らない人には奇異に見えるかもしれない |
さて、志木駅は埼玉県志木市、同新座市、朝霞市の境界に立地、駅のほとんどは新座市内に立地しています。開業当初は現行より川越寄りの志木市内にあったものの、移転のため、こうした微妙な場所になってしまったもので、住むことを考えてこの街を知るためには、自治体の違いも含めて見ていく必要があります。今回は3市のうち、志木市、新座市を取り上げます。
学校の多さ、歴史、自然の豊富さ……
共通点と相違点は?
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駅東口側にある慶応志木高校。緑濃い広大な敷地が広がる |
今回取り上げる2市の位置関係を図化したのが下の図。駅の南口側と東口の駅周辺は新座市となっており、東口の駅から少し離れたところからが志木市です。この2市には共通点も多く見られます。まず、挙げられるのは、学校の多い、独特の雰囲気です。志木市には駅のすぐ近くに慶応志木高校があり、少し離れて細田学園女子高や県立志木高校なども。
志木駅周辺には3自治体が入り混じる
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志木駅周辺には3つの自治体が入り混じる。住所は新座でも物件名は志木と表示される物件も少なくない |
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志木街道沿いにある立教大学新座キャンパス。桜の名所でもある |
一方、新座市はバス便利用になりますが、立教大学新座キャンパスに立教新座高校、同中学や十文字学園女子大学などがあり、学生の多さは共通といえるでしょう。
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かつて交易のための市場が開かれていた、現在の本町通りには当時の面影を残す商家が点在 |
また、歴史のある地であることは共通ですが、その中心となったものには大きな違いが見られます。志木は江戸時代から大正時代にかけ、新河岸川などの水運を利用、商業の街として栄えた街。現在も駅から市役所への本町通りの古い商家にその名残を見ることができます。
これに対して新座は縄文時代からの集落などの遺跡も残り、古くから人が住んできた地域ではあるものの、戦前は畑と屋敷林が広がる農村地帯。宅地化の結果、農地はかなり減ったものの、いまも、観光農園などの形で残っています。
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関東の古刹平林寺。43万坪におよぶ境内林は武蔵野の雑木林の原型を残すものとして天然記念物に指定されている |
自然の豊富も同様ですが、街を歩いてみると、雰囲気の違いは歴然です。志木は前出の新河岸川、柳瀬川を中心にした低地が中心で、川沿いには桜並木の名所も多数点在します。新座は平林寺に代表される、武蔵野の鬱蒼とした雑木林の雰囲気が印象的で、少なくなったとはいえ、屋敷林の風情を残す一画を見かけることも。市域の多くが野火止台地上にある新座市の中心部は平坦ですが、志木市は台地から川に向かう土地が多く、移動に気になるほどではないほどの緩やかな傾斜があちこちにあります。隣接した街でも、ずいぶん、表情が違うものです。
では、次ページでは2市の独自性と住宅相場を見ていきましょう。