公的な土地価格は4種類
最も分かりやすい、比較しやすいのが路線価
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実際の路線価はこのように道路一本ずつに価格が振られている |
国などが調査して示す土地価格には地価公示、都道府県地価調査、相続税評価(路線価)、そして固定資産税評価の4種類があります。そのうち、私たちがネットで気軽に見られるのは固定資産税評価以外の3種類。そして、限られた調査地点だけでなく、地図上のほぼすべての道路に面した土地の価格が見られるのは路線価だけ。つまり、こことあそこの価格がいくら違うかが見られるのは路線価だけというわけです。もちろん、実際の取引価格を反映した公示地価の約8割ほどに評価されているそうですから、実際の価格とはかなり異なるはずですが、こことあそこを比較するには十分役に立ちます。
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目黒区は高低差があるため、坂や階段が多く、意外に路線価の安い地域もある |
では、こことあそこの土地の値段の差はどのような要因から生じてくるのでしょう。ここではそれを実際の路線図に沿って見ていいきます。取り上げるのは坂が多く、土地の高低がはっきりしており、そのうち一部には車が通行できないような道もあるなど、場所によって条件が大きく変わる中目黒周辺です。
駅近は高く、離れるに従って安くなる
が、通りの規模などによって下がり方は異なる
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写真右手に駅があるため、中目黒周辺の山手通りの路線価は駅のある側が高くなっている |
まず、大きく価格を左右するのは足回りの利便性です。駅に近い場所は高く、離れれば離れるほど安くなります。中目黒の駅前は1m
2あたり264万円で、山手通りを渡った反対側は220万円。道一本を隔てるだけでもこれだけの差が出るのです。また、同じ山手通り沿いでも駅から離れるに従い、価格は185万円になり、少し離れて駒沢通りと交差する辺りになると100万円~108万円になり、さらに102万円と離れるに従って下がっていきます。
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手前が駒沢通り、正面が山手通り。中目黒を背にしたところ |
しかも、この下がり方は道路の車線数や交通量、首都圏全体で見た重要性などの規模によって異なります。規模の大きな、重要度の高い通りであれば距離が離れてもそれほど下がりませんし、規模の小さな通りになればなるほど少し離れるだけで価格は大きく下がります。例えば、山手通りと駒沢通りでは山手通りのほうが大きな通りですね? また山手通りは都心周辺を環状に走る通りですが、駒沢通りは郊外へ向かう通り。そこでこの2つの道路が交差する場所から同距離で価格がどう変わるかを見てみます。山手通りで中目黒から目黒方向へ向かって108万円→102万円になる距離を駒沢通りの中目黒から祐天寺へ向かう方向に当てはめてみると100万円→65万円。小さな通り、郊外に向かう通りのほうが価格が下がりやすいというわけです。
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東横線と並行する目黒通り銀座商店街。駅から遠ざかるにつれ、商店が減り、住宅などが増えてくる |
規模が小さくなればなるほど、距離によって下がる幅は大きくなります。例えば、東急東横線と平行に中目黒銀座という商店街がありますが、ここが山手通りと接する地点は134万円。それが先ほどの山手通り、駒沢通りと同じ距離分離れると68万円に。価格自体は駒沢通りよりもやや高めですが、下落率はより大きくなっています。
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山手通りの歩道橋から中目黒駅方向。交通量の多い通り沿いは便利ではあるが、住環境としては歓迎しない人もいるはず |
つまり、駅から同じ距離だけ離れているとすると、幹線道路沿いよりも、規模の小さな、細い通り沿いのほうが安い可能性が高いということになります。そして、利便性では幹線道路沿いのほうが高いとしても、住むという観点でみると必ずしも幹線道路沿いがいいとは限りません。そのギャップを狙えば、いいお買い物ができるかもしれないというわけです。
次のページでは価格が上がるトコロ、安いトコロを見てみましょう。