スペインの薬局は「緑の十字」が目印。国や薬局が変わっても、血糖コントロールが大切なのは同じです
私も食事に関係のない基礎インスリンを注射して病院に行ってしまい、ちゃんとした検査を受けられなかったことがあります。どうすればよいのか、わかりやすくご紹介しましょう。
健康診断と血糖コントロールのジレンマ
食べ過ぎはもちろんですが、食事をパスすることも糖尿病患者にとっては血糖コントロールを難しくする要因の一つ。前に解説したDKA(糖尿病ケトアシドーシス)も、インフルエンザ等による食欲不振や、水も飲めないような嘔吐が引き金になることを考えると、食事を抜くのはなるべく避けたいところです。
血液検査や消化管の内視鏡検査では、朝食を抜くように事前注意を受けます。食事をパスする時の糖尿病薬の服用のアドバイスを誰に求めますか? 薬剤師ですか? 看護師? 検査技師? どうもみなさんの意見は自信がなさそうですね。
これは意外と難しい質問なのです。以下のようなことを考慮しなくてはなりません。
- どんな薬をどのくらい使っているか
- 血糖コントロールはどうか
- 食事を断つのが長時間にわたるか
- そもそも、何のために食事を抜くのか?(すでに体調が悪いのか?)
食事を抜かなければならない時の基本ルール
■経口血糖降下薬を服用している場合検査が終了しても、また食事ができるようになるまでは薬を服用しません。もし次の食事と服薬の時間が近い場合は、薬の重複を避けるために服薬を1回パスするようにしましょう。
■経口薬のメトホルミンを服用していて、検査で血管造影剤を注入する場合
少なくとも48時間はメトホルミンの使用が禁じられています。メトホルミンと造影剤は、ともに腎臓に負荷をかけるからです。医師と相談の上、指示に従いましょう。
■GLP-1作動薬のビクトーザを使用している場合
この場合も、食事ができるようになるまでは注射すべきではありません。
■インスリンを使用している場合
インスリンの場合は少し注意が必要です。タイプ別に解説しましょう。
・ボーラス・インスリン
食事に応じて注射するものなので、食事を抜く場合は、当然ながら注射する必要はありません。
・混合型(2相型)インスリン
朝の1回の注射で昼食までカバーするものなので、朝の注射をパスしてしまった場合は、検査後の昼食のインスリンはカバーされていない点にご注意。
・ベーサル(基礎)インスリン
糖尿病医に相談するように。レベミールやNPHを1日1回就寝前に注射している場合はほとんど問題ないでしょう。もしこれらを朝晩2回打ちしている場合は、注入単位を減らすアドバイスがあるはずです。
・ランタス
投与量や注射のタイミング、断食の時間によってどのようなアドバイスがあるかは医師次第になります。
いずれにしても、胃カメラ検査等の空腹時の検査では、血糖値をチェックしたいですね。私の場合は低血糖を報告して、ブドウ糖の筋肉注射を受けて無事胃カメラを完了することができました。