ちょっと遠くてもココに住みたい、
茅ヶ崎は都心とは異なる魅力のある街
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駅から歩いて20分強、夏には賑わうサザンビーチ。遠くにこの街のシンボル、えぼし岩が見える |
東京駅から東海道線で1時間弱。茅ヶ崎は東京都心部への通勤で考えると、ちょっと遠い街ですが、それに関わらず根強い人気のある、憧れを持って語られる街のひとつ。都心とは全く違う、ここにしかない風景のある街です。
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街のそこここでかんきつ類の鮮やかな色を見かけた |
その大きな要因となっているのが海。一般に神奈川県の相模湾沿岸エリアを湘南と呼びますが(ただし、行政区分、気象区分、ナンバープレートのエリアはそれぞれ微妙に異なる)、茅ヶ崎も南側は相模湾に面しており、温暖な気候は明治時代から別荘地として愛されてきました。茅ヶ崎市のホームページによると「茅ヶ崎市は四季を通じて温暖で、年間の平均気温は摂氏17度となっています。夏は涼しく冬は暖かいという恵まれた気候から、明治後半から戦前にかけては湘南有数の別荘地でした。平成20年7月に実施したアンケートでは、83.5%の方が『茅ヶ崎にずっと住み続けたい』と回答しており、その理由については、46%の方が『温暖な気候で暮らしやすいから』と答えています」とのこと。イメージだけではなく、実際にも住みやすい街なのです。
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東海道線と平行する国道一号、かつての東海道は砂丘エリアの中の高台を走っている |
ただ、海のイメージが非常に強いものの、茅ヶ崎市自体は海辺の平坦な場所ばかりから成っている街ではありません。市の北側、約3分の1くらいのエリアには相模原台地(その一部として高座丘陵という言い方も)が広がっており、それほど急峻ではないものの、坂なども多い地形です。また、市の西側、平塚市との間を流れる相模川や河口近くで合流する小出川周辺は河川によって作られた沖積低地となっています。今回はそれらの地域を除き、北部の丘陵地帯から海までの、茅ヶ崎駅を中心としたエリアを取り上げます。
今回取り上げたエリア概念図
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今回取り上げた茅ヶ崎駅周辺から相模湾にかけての概念図。記事中に登場した場所についても可能な限り入れた。茅ヶ崎市全図ではないので念のため |
松の木にカラフルな住宅、
サーファーも目立つ海寄り、南口側
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何かすごいモノを期待するとあてが外れますが、のんびりした雰囲気のサザン通り。住宅街の中にぽつんぽつんと店があるといった風情 |
さて、まずは多くの人がイメージする、茅ヶ崎らしい風景のある茅ヶ崎駅南口からご紹介しましょう。南口は多少は高い建物もあるものの、どこかのんびりした雰囲気で、駅のすぐ脇にハワイアンな雰囲気の店があるほど。駅前のロータリーからは何本か海に向かう道があり、そのうち、名まえとして知られているのが一番西側にあるサザン通り商店街でしょうか。いまや、茅ヶ崎といえば最初に名が挙がるサザンオールスターズの桑田佳祐さんの地元ということでこうした名称がつけられているのですが、夏以外に行くと、商店街とも思えないというのが率直な感想。まっすぐにサザンビーチに向かう通りです。
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茅ヶ崎の飲食店というとしゃれたカフェや魚料理の店をイメージするが、地元にはごく普通の飲み屋さん街なども当然ある |
商店街としてはサザン通りと平行して走る高砂通り、雄三通りのほうがまだ商店街らしいというところでしょうか。高砂通りとサザン通り、雄三通りの間には飲食店もあり、ちょっと夜の街の雰囲気もあります。
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雄三通りはバス通りでもあり、比較的交通量が多い |
雄三通りはもう1人の茅ヶ崎ゆかりの芸能人、加山雄三にちなんだ通りで、比較的広めの通りにはスーパーや酒屋さんなどが並び、買い物客も集まっています。が、多くの人がイメージする茅ヶ崎らしい風景があるといえば、駅周辺ではありません。もっと海の近く、あるいは駅から離れた通りです。
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鉄砲通りと一中通りの角にあった雑貨屋さん。普通の店舗、住宅に混じってこんな店がぽつぽつとあるのが茅ヶ崎の街を歩いていて楽しいところ。ただし、駅近くなどの一部を除けばコンビニなどは少ない |
もっとも「らしい」といえば、海岸線と平行に東西に走る鉄砲道、あるいは一中通りあたりでしょうか。例えば、鉄砲道沿いにはごく普通の住宅、店舗の間に、しゃれた雰囲気のカフェや料理店、地元では超有名な魚料理の店などが並ぶ風景は単なる郊外の住宅街とは思えません。駅から離れていても、おいしい店、個性のある店であれば商売できる、わざわざ食べに来る人のいる街なのです。
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白やパステルカラーの洋風の住宅が多い一中通り。スポーツウェアショップやカフェなどもあり、どことなくしゃれた雰囲気が漂う |
さらに一中通りにはそこに白やパステルカラーを基調とした明るい雰囲気の住宅が加わります。陽光を取り込むように広いバルコニーのある広い家も多く、街全体が開放的で明るい印象。通り沿いの松の木、青い空とあいまって、街全体がカラフルで、軽やかに見えるほどで、東京の住宅街とはかなり違います。
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訪れたのは2月。比較的暖かい日であったが、海辺にはたくさんのサーファーたちが波を楽しんでいた |
いずれの通りも突き当たりは134号を挟んで防風のための林があり、その向こうは砂浜。茅ヶ崎のシンボル、えぼし岩が遠くに見え、手前には季節を問わずに波と戯れるサーファーの方々。茅ヶ崎では海辺ばかりか、街中でもサーフボードなどを積んだ自転車とすれ違うこともしばしばで、マリンスポーツがやりたいから茅ヶ崎に引っ越してきたという話もよく聞きます。当然、マリンショップもあちこちにあります。また、小型犬だけでなく、大型犬を連れた方が多いのも住宅の大きなこのエリアならでは。海岸と言う散歩には好適な場所がある点も寄与しているはずです。
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海辺の防風林の中に続くなぎさの散歩道。陽光と緑が楽しめる |
海沿いには防風林の中を通る散策路やサイクリングロードなども整備されており、マリンスポーツ以外にも海辺はお楽しみの宝庫。漁港や地引網を楽しめる場所もあります。夏には湘南の他の街同様花火大会が開かれており、それも名物のひとつ。海岸沿いの他の街の花火大会も楽しめるとも聞きました。
大型店に市役所、公園、
マンションなども並ぶ北口側
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駅を背に北口の茅ヶ崎中央通りを見たところ。左右に大規模な商業施設、飲食店ビルなどが建ち並ぶ |
では、今度は駅の北口。こちらは通りの中央にペデストリアンデッキがあり、左手にはスーパーや家電量販店などの大型店が並び、その先には茅ヶ崎市役所や市の文化会館、総合体育館など。右手には飲食店の多い路地があり、さらにその奥にはシネコンを備えた大型店、ホームセンターなどもあり、北口エリアは買い物、飲食、娯楽などの機能が集中している場所といった印象。市役所の斜め前には中央公園もあります。また、一戸建て、あるいは低層の集合住宅中心の南口側と比べると、中高層の建物もあり、マンションも多少目立つようになります。
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学校帰りの子どもたち。近くの人やお店の人たちと挨拶したり、おしゃべりしたりしている子どもたちも |
どこを歩いても目についたのは子どもの姿。データを見ると茅ヶ崎市は人口増加が続いており、市の推計によると平成32年まで増加を続けるとのこと。当面は今の活力が失われることはないというわけです。また、子育て世帯はもちろん、それ以上の世代も含め、主婦と思しき人たちの姿が多かったのも印象的でした。
続いて次のページでは湘南茅ヶ崎の住宅事情、住宅価格を見ていきましょう。