外国人持ち株比率に注目
外国人持ち株比率とは
1990年代前半、10%に満たなかった外国人持ち株比率が2012年に28%を超え、2013年は更に高まってきているのが現状です。都銀などの金融機関の保有比率(28%)と肩を並べ、個人(20%)を抜いています。つまり日本の株式は外国人が28%、金融機関が28%、個人が20%を保有するに至っており外国人の影響が年々強まっているのです。
また外国人売買比率も2003年は47.5%でしたが、2006年には58.1%、2014年1月で67%と年々外国人投資家の売買における比重も高まっています。
売買比率と保有比率の関係を整理しておきますと売買比率は毎年毎月の動きで売買を外国人がどれだけ占めているかを示します。フローの動きです。一方保有比率は売買した結果,買い越しが多くなれば保有比率は上昇していきます。ストックの動きを示します。
毎年の売買比率が高まれば必然的に保有比率は高まっていきますので外国人持ち株比率28%は2014年に更に伸びているでしょう。2013年は15兆円の買い越しだったからです。
海外の投資家に評価されるということは、国際的にも認められた「優良株」のお墨付きを得たことにもなります。
外国人持ち株比率が上昇した銘柄には、国内の投資家が追随するケースも増えています。こうなれば、当然外国人投資家の動きが大きく株価を左右することになります。国内の投資家はこうした外国人投資家の売買動向に注目せざるを得ない状況で、当日の売買動向や買い越し、売り越し等の動向に市場が大きな影響を受けざるを得ません。
外国人持ち株比率の高い銘柄
外国人投資家が増加した要因には企業会計制度の国際化と商法の改正が挙げられます。PERなどの面で国際比較がしやすくなり、また株式交換制度を利用した企業の再編・経営の効率化が進むなど日本もグローバルスタンダードが定着していきました。こうした中、事業の選択と集中・キャッシュフロー経営・効率的なM&Aなど外国人が好む政策を取る企業が増えてきました。
外国人の持ち株比率の高い企業を見てみますと、ネクソン、日本オラクル、MonotaRO、中外製薬、日産自動車、トレンドマイクロ、オリックス、三井不動産、ファナック、などとなっており、外国企業の子会社関連会社やオンリーワン企業が並んでいるのがわかります。
国際優良株も比率が高く、ソニー(40.6%)、キヤノン(33.1%)などです。その他有名企業の持ち株比率を見ますと、セブン&アイ・ホールディングス(34.9%)、ファーストリテイリング(24.8%)、ソフトバンク(46.0%)となっております。
何に注目するのが良いのでしょうか?
持ち株比率の高い銘柄は逆にいえば、売られればあっという間に下落することでもあります。ソニーやキヤノンの例のように一般的に国際優良株は外国人持ち株比率が高く、円高進行時には持ち株の整理が一気に進められるケースもあり注意が必要です。実際リーマンショック以降、これらの国際優良株は整理され保有比率は下がっております。外国人と一口にいっても年金・投資信託といった比較的長期間で純投資を行う機関投資家、絶対的パフォーマンスを目指すヘッジファンド、敵対的企業買収などで最近話題の投資ファンドなど様々です。ヘッジファンドは短期的なパフォーマンスを求めて売買する傾向があり、乱高下のもとになります。
リーマンショックや欧州危機の暴落局面ではヘッジファンドの売りが話題になりましたね。株式はファンダメンタルが重要ですが、需給面も短期的には大きな影響があります。
外国人投資家の持ち株比率が高い銘柄は、「優良株」であることは間違いないでしょうが、相場の流れもしっかり把握していかないと高値掴みをさせられかねませんね。