前回は居住を目的としない家賃売上がある場合のアパート・マンション新築にかかる消費税還付の方法を解説した。今回は居住を目的とする家賃売上しかない場合の消費税還付の方法を解説していこう。
居住を目的とする家賃収入しかない場合、これは非課税の売上と税法上みなされる。
  このため、仮受け消費税をとることはできず、アパート・マンション新築にかかる消費税還付を受けることはできない。
しかしながら、居住を目的とする家賃収入しかなくてもアパート・マンションの新築にかかる消費税を取り戻せるケースがあるのである。それは下記のような場合である。

・ 駐車場や自動販売機等からの収入がある場合
・ 事業からの収入がある場合
・ 課税売上となる家賃収入がある場合(店舗・事務所等からの家賃)

  ここで注意しなければならないことは建物完成と入居者募集の時期についてである。消費税の全額還付を受けるには売上全体に占める課税売上の割合が95%以上でなければならないという決まりがあるからである。
  アパート経営を個人事業で行う場合、その課税期間は1月1日から12月31日までである。この期間の課税売上割合を高めるには、家賃収入を少なくするしかない。

  これを踏まえて、具体例で考えてみよう。
  3階建てのアパートを3,150万円で建築するとしよう。うち消費税額は150万円である。事務所や店舗などとは違い、3階とも居住を目的とするものである。このアパートは8月に着工し、12月に完成する。入居は1月より開始である。
  このままであれば課税売上がないので消費税150万円は取り戻せなさそうである。そこで、建築予定地に自動販売機を設置し、課税売上を作り出す。
  仮に11月に自動販売機を設置し、11月、12月の2ヶ月で5万2,500円の売上があがったとしよう(うち2,500円は消費税)。
この場合、消費税の計算は、

 消費税 = 0.25万円 - 150万円 = ▲149.75万円

となり、149.75万円が還付されることになる。

 つまり、仮受け消費税は、アパートを賃貸したことから発生したものでなくてもかまわないのである。上の例のように、自動販売機からの売上のような家賃収入以外の売上を作ることでの新築にかかる消費税の還付を受けることが可能になる。
 上の例では家賃収入はゼロ、自動販売機からの課税売上は5万円である。
売上全体に占める課税売上の割合は100%となり、課税売上割合は95%以上であるので消費税の全額還付の条件を満たす。
 しかし、仮に建物完成の時期が1ヶ月早まり、12月より家賃収入が発生するとした場合、どうなるだろうか。マンションが11月に完成し、12月に家賃収入が100万円入ってきたとしよう。自動販売機からの売上は同じく5万円である。
 この結果、売上に占める課税売上の割合は、

 5万円(自動販売機からの売上)
     ÷(100万円(家賃収入)+5万円(自動販売機からの売上)
  =4.8%

となり、総売上に占める課税売上の割合が95%という条件を大きく下回ることになる。
この場合、還付される金額はほとんどなくなってしまう。
  重要なことは建物が完成する年度内に非課税売上を作らないことである。
  従って、12月ごろに建物を完成させ、入居開始を個人の事業年度が変わる翌1月とすると課税売上割合を高めることができる。このようにすれば建物新築にかかる消費税をほぼ全額取り戻すことが可能になるのである。
  以上アパート・マンション新築にかかる消費税を取り戻す方法について解説した。アパート・マンションの新築の際にはこの方法をぜひ活用していただきたい。

・消費税還付についてのご相談サイト
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。