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相続時精算課税制度を使った遺産分割 争続対策 part4

遺言をしていても遺留分の問題によりアパートが共有で相続されてしまう可能性がある。しかしある方法をとればこの遺留分の問題を解決することもできる。

浦田 健

執筆者:浦田 健

アパート・マンション経営ガイド


前回は遺留分について解説した。遺言をしていても遺留分の問題によりアパートが共有で相続されてしまう可能性があるのであった。しかしある方法をとればこの遺留分の問題を解決することもできる。

その方法とはズバリ、「相続時精算課税制度」を使った生前贈与を利用することである。

そこで今回は「相続時精算課税制度」を利用することのメリットについて解説したい。

生前贈与は財産をあなたの意思どおりに子供に分け与えることができる方法である。
生前に贈与しておけばあなたの死後にアパートが遺産分割協議の対象になることはない。なぜならそのアパートは贈与された者の財産となるからだ。
ところが、アパ・マンを子供に贈与した場合、贈与を受けた者には多額の贈与税が課税されてしまう(贈与税には110万円の基礎控除が認められている。従って年間110万円までの贈与ならば課税されない)。

この贈与税の問題は「相続時精算課税制度」を利用することで解決できる。贈与税を大幅に減らした上でアパ・マンを贈与することが可能になるのである。

「相続時精算課税制度」は、

・2,500万円までの贈与には贈与税がかからない
・相続が生じたときに贈与した財産がすべて相続税の対象になる


というものである。

具体例で考えてみよう。
あなたはアパート1棟を経営している。敷地は1,500万円、アパートは1,000万円の価値があるとする。子供は長男と次男の2人である。財産はこの土地とアパートだけであり、基礎控除以下であるので相続税の心配はしていない。
しかし、あなたの死後、子供たちが共有でアパートを相続するのを避けるため、あなたは事前にアパートを長男に贈与しておくことを考えた。

相続時精算課税制度を利用しない場合


贈与税には110万円の基礎控除がある。
このケースでは、

1,500万円(敷地)+1,000万円(建物)-110万円(基礎控除)=2,390万円

この2,390万円に所定の税率をかけて計算した金額が贈与税になる。2,390万円に対しては970万円もの贈与税が課税されてしまう。

相続時精算課税制度を利用する場合


相続時精算課税制度を選択すると、2,500万円の特別控除が認められる。贈与税の対象になるのは、2,500万円を超えた分についてのみである。超過分については20%の贈与税が課税される(ただし、相続が起きた場合、課税された贈与税分だけ相続税額からさしひくことができる)。

このケースでは、

1,500万円(敷地)+1,000万円(建物)-2,500万円(特別控除)=0

となり、まったく贈与税をとられることなくアパートを長男に贈与することができるわけである。

相続時精算課税制度を選択する一番大きなメリットは、贈与税を気にすることなくあなたの意思どおりに財産を分割できることにある。
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