アパートマンション経営/アパート・マンション経営のはじめ方

住宅金融支援機構を使う場合の注意点(2)(2ページ目)

今回は住宅金融支援機構を使う場合の計画収支シミュレーションを行ってみましょう。今回のポイントを押さえれば、住宅金融支援機構でどの程度借り入れが可能か、自分で把握できるようになります。

浦田 健

執筆者:浦田 健

アパート・マンション経営ガイド


住宅金融支援機構の収支・担保評価について


(1)収支評価の方法について
住宅金融支援機構では、新築物件の収支評価において、以下の項目を評価して月間の収支評価を行っています。

(収入の部)
家賃収入(想定家賃の80%)
駐車場収入( 同上 )

(支出の部)
●借入金の返済:借入期間35年、元利均等返済、利率は直近の利率で計算
●固定資産税(概算):建築費×0.035%
●都市計画税(概算):建築費×0.015%
●維持費:建築費×0.05%(準耐火は0.09%)
●管理費:賃料×5%
●火災保険料:建築費×0.022%/12

上記の収入合計と支出合計を差し引き、プラスになればOKです。

(2)担保評価の方法について
一方、担保の評価の考え方は、概ね以下の通りです(2008年10月現在)
●建物:建築費の7~8割
●土地:路線価の7/8

これを算出し、借入額よりも担保評価額のほうが高ければ満額融資可能となります。

具体的な収支・担保の計算例


さて、それでは以下のようなケースを想定して具体的に収支と担保を計算してみましょう。
・土地のオーナーが新設法人を設立してRCのマンションを建築
・建物概要と土地概要は以下のとおり。

(土地の情報)
土 地 400平米
路線価 180,000円/平米

(建物の情報)
建築費 150,000,000円
諸経費 15,000,000円
総戸数 住戸×20戸 / 駐車場×3台
家 賃 住戸 80,000円 / 駐車場 10,000

借入額 165,000,000円(建築費+諸経費)
借地料 60,000/月

(1)収支評価の計算
月間収入は、家賃と駐車場賃料の80%ですから、
{(80,000×20戸)+(10,000×3台)}×80%=1,304,000円 となります。

続いて月間支出の評価です。
(以下はあくまでも機構の計算シートから算出した概算値です)

●借入金の返済:681,930円
(借入期間35年、元利均等返済、利率3.5%で計算)
●固定資産税(概算):建築費×0.035%=52,500円
●都市計画税(概算):建築費×0.015%=22,500円
●維持費:建築費×0.05%(準耐火は0.09%)=75,000円
●管理費:賃料×5%=81,500円
●火災保険料 建築費×0.022%/12=2,750円
●借地料:60,000円

これらを合計すると、年間の支出が976,180円となります。

収入と支出を比較すると、差し引きプラスになっていますね。これで収支上も問題ないと判断されます。

(2)担保評価の計算
土地の担保評価は、路線価の7/8ですから
 (180,000円×400平米)× 7/8 = 63,000,000円

建物の担保評価は、おおむね建築費の7~8割。今回は7割で計算すると
 150,000,000×70%= 105,000,000円

上記のとおり、今回のケースの担保評価合計は、168,000,000となります。
借入額は165,000,000ですから、満額の融資が可能となります。

このように、算出式や評価の考え方がわかれば、大まかな予測を事前に立てることができます。ですから、まずは事前相談の前に自分で基本情報を集めて、担保と収支を計算してみてください。担当者とのやり取りも具体的な話が出来るようになりますよ。
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